研究分担者 |
茅根 創 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60192548)
仲岡 雅裕 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (90260520)
浜口 昌巳 独)水産総合研究センター, 瀬戸内海区水産研究所・生産環境部, 研究室長 (60371960)
宮澤 泰正 独)海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, 研究員 (90399577)
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研究概要 |
1)local habitat内での相互連成構造と機能群評価について,3地域の海草藻場(厚岸湾,三陸沿岸,沖縄列島)を対象に,海草藻場の生物群集の多様性,生態系機能(生産性)に対する沿岸生態系の連成構造の影響を検討した.その結果,海草藻場の生物多様性,生態系機能が,隣接する河川生態系からの影響,特に淡水および堆積物の流入プロセスによって大きく変動することが解明された.2)数値シミュレーション解析により,サンゴ幼生のリーフ内初期分散過程,特に,これまで不明であったスリック形成メカニズムについて検討した.その結果,裾礁型サンゴ礁に一般的に見られるチャネル-礁嶺システムの存在が,周辺の幼生分散過程を特徴付けており,リーフ内の粒子群がチャネルを通過することにより,スリック状構造が形成されることが明らかとなった.また干潮時の産卵の方がスリックを形成しやすく,サンゴの受精確率が高まることが示唆された.3)これまで不明であったオニヒトデの初期生態を把握するために,沖縄・宮古島において野外幼生調査を実施し,発生段階の異なる合計28個体のオニヒトデ幼生を同定した.また,幼生分散の間接的評価方法である多型分子マーカーとして,高度多型性を示す16のマイクロサテライトマーカーを開発するとともに,ミトコンドリア内の非コード領域にハプロタイプマーカーとして使用可能な変異領域を特定した.開発したマイクロサテライトマーカーのいくつかを用いて琉球列島および四国沿岸の計6地点でのサンプルに対して集団解析を行い,広域ベントス幼生輸送分散数値シミュレーション解析結果と併せて,オニヒトデの広域分散動態について検討した.4)底質コア試料解釈の基礎として,栄養塩負荷の異なる2地点において,群集代謝とサンゴと藻類の窒素安定同位体比を測定した.その結果,陸源栄養塩負荷が大きな地点では窒素同位体比が高くなることがわかった.これによって,堆積物中に過去の栄養塩負荷の履歴が残されている可能性が示唆された.
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