研究概要 |
平成19年度は,平成18年度の研究項目の継続に加え,劣化の進行に伴う化学組成の変化や元素分布(蛍光X線分析装置)の変化を把握することで,ナノレベルの物性変化が材料特性の変化や外装部材の性能変化に及ぼす影響について検討し,さらに,以下の項目について研究を行った。 1-1)筋コンクリート外装部材の性能評価システムの構築(野口,兼松) 鉄筋コンクリート造外装部材の性能評価システムの構築に向けて,平成19年度は,平成18年度の文献調査研究に引続き,外装部材に補修を施した場合について各構成材料の耐久性を考慮した性能評価システムの構築を検討した。 1-2補修後の外装部材の劣化曲線,劣化モデル(実験) 補修後の外装部材の性能劣化曲線を求めるための数理モデルを構築するために,補修材料自体の劣化促進実験を実施した。さらに,検討中の性能評価構造に基づくモデルの確認を目的として,拡散セル試験機(差圧法)の改良や,拡散セル試験機(等圧法)の開発を進め,劣化試験を開始した。また,溶解拡散モデルに基づく仕上げ材の効果を考慮した中性化進行予測モデルの検証を行った。その結果,本モデルにより,仕上げ材の劣化を考慮した中性化予測が可能であることを実験的に確認することが出来た. 2-1各性能的要件や機能的要件に対する評価手法の検討 建築物レベルでの様々なメンテナンス計画の優劣を評価する方法について検討し,LCC,工事期間,美観,環境負荷などの評価項目に対して,重み付け関数の導入などを念頭に評価方法の検討を行った。 3-1遺伝的アルゴリズムを用いた建築物のメンテナンス計画最適化ツールの完成(野口,兼松) 多基準最適化遺伝的アルゴリズムを用いて,RC構造物への劣化因子の進入に対する維持管理計画策定支援システムのプロトタイプ(mntGA)の開発を進め,本年度は,これらシステムを拡張し,塩害に伴う鉄筋コンクリート造建築物の劣化リスクの評価手法を提案するとともに,免疫系遺伝的アルゴリズムの新規導入による最適化システムを構築し,その有用性を確認した。
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