研究概要 |
平成20年度は,前年度までの個別の材料物性試験を継続的に進め,昨年度開発した拡散セル試験機による仕上げ材性能評価実験を行った。また、昨年度から継続的に進めてきた促進劣化試験による劣化試験体の劣化進行に伴う構造躯体保護性能の経時変化を把握し、仕上材の物性変化が材料特性の変化や外装部材の性能変化に及ぼす影響について明らかにした一方で,中性化・塩害に伴う鉄筋コンクリート造建築物の劣化リスクの評価手法を提案するとともに,免疫系遺伝的アルゴリズムの導入による最適化システムを完成させた。 本年度の研究成果項目を以下に示す。 (1)鉄筋コンクリート造建築物仕上材の躯体保護性能評価 鉄筋コンクリート造建築物の表面仕上材による躯体保護性能の効果を確認し、塗料および仕上塗材のコンクリートの中性化抑制効果の持続性について評価するため,主として紫外線劣化させた試験体を用い,仕上材の経年劣化を考慮した中性化抑制効果を定量的に把握した。また、凍結融解作用による仕上材の劣化、劣化後の中性化抑制効果を確認し、塗料種類によって中性化抑制効果の低下率が異なることを把握した。 (2)補修後のRC部材の性能評価 補修後のRC部材の各種性能を求めるための数理モデルを構築するために、補修材料とコンクリートおよび鉄筋との力学的特性を確認した。また、修復したRC部材の耐火性能を明らかにすることを目的として、補修材料の加熱後の基本物性を把握した上で有限要素解析を行って耐火性能を予測する手法の基礎的検討を行った。 (3)遺伝的アルゴリズムを用いた最適化システムプラットフォームの開発 多基準最適化遺伝的アルゴリズムを用いて、RC構造物への劣化因子の進入に対する維持管理計画策定支援システムのプロトタイプ(mntGA)の開発を進め、昨年度までに開発を進めた免疫系遺伝的アルゴリズムを核とした最適化システムの検証・改良を行った。
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