研究概要 |
本研究の目的である環境共生建築の外乱に対するロバスト最適化設計手法の開発のため,本年は(1)環境共生建築の環境実測による屋外環境変動(外乱)の影響把握および環境共生手法とロバスト性の関係の解明,(2)数値シミュレーションによるロバスト最適化制御手法の開発(3)ロバスト環境制御と知的生産性の関係以上3点における検討を行った。 1.環境共生建築における環境実測 本実測は、屋外環境変動(外乱)の影響把握と環境共生手法とロバスト性の関係の解明を日的として行った。ここでは、環境共生手法(通風に関する手法、日射に関する手法、断熱性能に関する手法)を利用した住宅と利用しない住宅で、室内環境およびロバスト性の比較を中間期実測で行った。その結果、次のような知見を得た。 ・適切なパッシブ手法を用いることにより,屋外環境変動による悪影響は低減される。すなわちロバスト性は向上する。また、外気の環境変動を無視したパッシブ環境制御は、意図とは逆の結果を招くことが明かになった。 2.ロバスト最適化設計手法の開発 建築運用段階において外乱の影響を受けやすいという環境共生建築の弱点を補完する制御機構の構築を目的とし,数値シミュレーションによる2段階のロバスト最適化設計手法の開発を行った.その結果次のような知見を得た。 ・屋外環境変動の影響に追従して、短期の外乱と長期の外乱に適応したタイムスケールの異なる制御機構を開発し、快適性を保ちつつ、環境負荷の大幅な低減を本制御により確認した。 3.ロバスト環境制御と微生物汚染並びに知的生産性 パッシブ手法を用いた自然換気並びにアクティブ手法を用いた環境制御下の実測を行うことにより、室内空気質の検証並びに知的生産性に及ぼす影響に関する効果を検証した。その結果、次のような知見を得た。 ・床暖房時は、温風暖房に比べて人体への微生物汚染が低減される事が示唆された。また、適切な換気量を確保することが知的生産性を向上させるため必要であることが確かめられた。
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