研究課題/領域番号 |
17206060
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研究機関 | 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所 |
研究代表者 |
三浦 定俊 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 企画情報部, 部長 (50099925)
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研究分担者 |
石崎 武志 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 保存科学部, 部長 (80212877)
肥塚 隆保 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター・保存修復科学研究室, 室長 (10099955)
川野邊 渉 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 修復技術部・修復材料研究室, 室長 (00169749)
佐野 千絵 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 保存科学部・生物科学研究室, 室長 (40215885)
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キーワード | 環境分析 / 建築環境・設備 / 地盤工学 / 菌類 / 保存科学 |
研究概要 |
本研究では、古墳壁画の保存を目的として、壁画に用いられている漆喰や石材、彩色材料の種類や物性を、可能な限り非破壊的手法を用いて調査し、また石室内の空気環境(空気組成の他に浮遊菌などの生物的環境条件も含む)、周辺の気象や地盤中の水分状況も調査して、壁画の保存状況との関係を検討する。 平成18年度は、古墳壁画の現地保存において、保存環境を制御するための施設として保存施設が各地で整備されているが、その施設をどのように管理すべきか検討するために、キトラ古墳壁画保存施設を例に施設管理の手法とその効果についての検証を進めた。その結果、施設内大気中浮遊菌の量の推移と種類の相同性から、室内大気の動きを把握する手法を確立し、その成果を用いて浮遊菌調査による清浄度評価と、積極的な除菌対策立案について研究をおこなった。また、施設の経年利用による施設内汚染度の上昇を抑止するため、除菌施工方法とその評価方法について検討した。 石室内の急激な相対湿度変化の抑止方法について検討するため、南側に穴のある模造石室において、穴が1箇所の場合と北側にも穴がある場合について、相対湿度変化がどのように及ぶか検討した。相対湿度変化を抑制するには、シート等で穴を塞ぎ、大気のすみやかな流通を妨げる必要があることが実測からわかった。 さらに昨年に引き続き、高松塚古墳・キトラ古墳の石室内で繁殖が確認された菌類の、分子系統解析による検討を進めている。また、菌類の侵入経路や由来について情報を得ることを目的に、これまでに得られている石室内の微生物分離株ならびに微生物相データ等と、詳細に比較検討を進めている。高松塚古墳については、発掘に伴って墳丘土壌を逐次採取し、今後の詳細検討用の試料を準備した。 この他、ミュンヘン(ドイツ)で9月に開催された国際保存学会(IIC)において、2件の研究成果を発表した。
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