研究課題/領域番号 |
17206062
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
建築史・意匠
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
日高 健一郎 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (30144215)
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研究分担者 |
高瀬 裕 立命館大学, COE推進機構, 教授 (50388104)
水嶋 英治 常磐大学, コミュニティ振興学部・コミュニティ文化学科, 教授 (70372886)
吉野 邦彦 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 准教授 (60182804)
アンドラス モルゴス 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (50431680)
高根沢 均 神戸夙川学院大学, 観光文化学部, 講師 (10454779)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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キーワード | ドーム / ハギア・ソフィア大聖堂 / コンスタンティノポリス / ビザンティン建築 / イスタンブール |
研究概要 |
過去になされたハギア・ソフィア大聖堂の修復の有効性を評価するためには、現状、特に上部のヴォールト架構の構造特性を理解する必要がある。本調査研究の構造領域では、これまで解析がなされていない東西半ドームとペンデンティヴについて有限要素法を適用した。解析の結果、4分の1球殻とはいえ、輪郭を大きく異にする東西半ドームは異なる力学特性を有することが明らかになった。西側では、頂部で内向きの大きな圧縮力が生じ、構造は中央ドームの推力に効果的に対応する。しかし、扁平度の大きい西側の半ドームは、基部では外向きの力を下部構造に及ぼすので、補強にあたっては、この点を考慮する必要がある。一方、全体形状が整っている東側半ドームの応力分布はより一様で、施工途中から生じた頂部の内側変位を除けば、変形性状は西側に比べ均質である。今後の修復計画立案では、中央ドーム直下の支持構造に見られるこの種の非対称性に注目しなければならない。モザイクの色彩分析では、特に金テッセラについて詳細なデータを修得し、分光反射率から、6、10、14世紀の金地に大きな成分相違があることを見出した。また、ハギア・ソフィア大聖堂南側ギャラリーの「デイシス」については、原寸作成のための簡易写真測量を完了し、図化の準備を進めている。同時に、この「デイシス」のほぼ全面の劣化診断を行った結果、相当部分に表層剥離が確認できた。脱落を防ぐためには早急に応急処置を施す必要がある。 最終年度に向けて、現在博物館となっているハギア・ソフィア大聖堂の公開機能について、アンケート調査、観光動線調査を実施した。館内の展示・採光についても国際水準から検討を行った。歴史的建築物を博物館としているので、採光が均一でないことはやむを得ないが、展示技術、動線処理にも多くの問題があり、特に、混雑期の折れ曲がり斜路、シュナイダーの発掘を残す掘りこみ式展示など、危険とも言える問題個所が見られた。今後の修復と活用では、こうした問題点の解決が望まれる。
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