研究課題
基盤研究(A)
合金ナノ粒子における固溶度増加とその支配因子を明らかにすることは合金ナノ粒子の相平衡を理解するために不可欠である。このような観点から、2固相共存状態にある合金ナノ粒子の両相における固溶度変化をAu-Ge合金ナノ粒子を用いて定量的に調べた。その結果、直径20nmより大きい粒子においては2固相共存状態にある粒子の各相での固溶度増加は少なかった。しかし、サイズ低下とともに固溶度は次第に増加することや粒子の直径が数nmまで小さくなると2相共存状態のかわりにアモルファス相が形成されることが確認された。また、粒子サイズ低下に伴う固溶度増加の傾向はAu固溶体の方がGe固溶体に比べて大きいことが確認された。次にこうした相互固溶度の増大について理論的な検討を加えた。ナノ粒子においてはデバイ温度がバルクに比べて10〜30%も低下することに着目して、ナノ粒子における弾性定数の低下がどの程度固溶度増大に影響するかを調べた。具体的には、正則溶体近似による自由エネルギー計算を行ない、相互作用パラメータの中に弾性歪エネルギーに起因する項を入れた。この計算では、弾性定数がバルクに比べて1/2に減少する範囲までを追跡した。その結果こうした弾性定数の低下にともない、自由エネルギーvs組成曲線のエンタルピー由来分は大きく減少し、従って共通接線で与えられる固溶度は顕著に増大することがわかった。計算結果は、この増大分の程度は温度にもよるが、実験と一致して数10%にのぼりうることを示している。以上より、微小系の固相合金における相平衡の支配因子として、弾性定数の減少が重要な役割を果たすことがわかった。
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