研究概要 |
1.ナノシートおよびナノシート構成膜の構造制御と構造-物性相関横サイズが2〜4μmの大サイズチタン酸ナノシート(NS-L)と300〜500nmの小サイズチタン酸ナノシート(NS-S)を泳動電着法により厚さ40nm程度に成膜し,リチウム挿入脱離特性を調べた。NS-L積層薄膜では厚さの増大に伴い,リチウムイオンがシート端部へ移動されにくくなり拡散律速過程が支配的になったが,NS-S積層薄膜では積層厚さに依存しなかった。小サイズナノシートを用いた電極では薄膜構造による影響が少なく,自由な構造設計が可能であることが示された。マンガン酸ナノシート再積層体における繰り返し充放電(リチウムイオンの挿入脱離)による特性劣化の要因を調べ,構成するシートの面内構造は変化しないが,積層構造の乱れによるリチウムイオンの挿入反応抵抗の増大が原因であることが明らかとなった。 2.ナノシート利用各種応用への展開リチウムイオン二次電池電極として,電子導電性の多孔質炭素の孔内壁にマンガン酸ナノシートを厚さ10〜20nm積層固定化した複合電極を作製した。高比表面積,短いイオン拡散距離,高電子伝導性により,通常の容量を維持したまま1kW/kgを超える高出力が得られた。層状リン酸ジルコニウムを剥離させたナノシートを,耐熱性ポリマーであるスルホン化ポリエーテルエーテルケトン(SPEEK)に分散させ,プロトン伝導性複合膜を作製した。複合化により,それらの界面において水素結合が形成され,水への安定性と耐熱性が向上した。飽和水蒸気下150℃において十分に高い導電率を示し,中温度作動型燃料電池用電解質膜として利用可能であることが分かった。異なる層状ペロブスカイト酸化物から得られるナノシートを再積層し,2種のBサイトカチオン(Nb,Ta)が規則的に配列した新規材料を作製した。2種カチオンが不規則配列したペロブスカイト酸化物と比べ大きな格子長と小さな誘電率を有しており,新規誘電体の創製に有効であることが分かった。
|