研究課題/領域番号 |
17206070
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
正橋 直哉 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20312639)
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研究分担者 |
松本 洋明 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40372312)
花田 修治 東北大学, 金属材料研究所, 名誉教授 (10005960)
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キーワード | 光触媒 / 可視光応答性 / 超親水性 / 生体材料 |
研究概要 |
TiNbSn合金上へのTiO_2の作製法として陽極酸化を採用し、電解浴に高濃度硫酸水溶液を使用して化成電圧を高めることで、高結晶性のアナタース構造TiO_2が創製でき、光触媒性能が向上する。更なる機能向上を目指した結果、硫酸濃度と電流密度を高めることで、結晶性の高いルチル構造のTiO_2を創製できることを見出した。ルチル構造は光触媒活性がアナタース構造より低いとされていたが、本実験からアナタース構造より優れた性能を発現することを見出した。また水滴接触角測定による親水性評価から、5msという短時間で表面張力の大きい蒸留水がTiO_2薄膜に濡れることを発見し、濡れ性に優れたインクジェットプリンター用紙への濡れと同程度に速いことがわかった。更にこれらの機能は、紫外光照射下だけでなく、可視光照射下でも高機能を発揮することを明らかにし、電解浴から混入した硫黄によるバンドギャップ狭窄に起因すると提案した。XPS等による表面分析から、TiO_2最表面には水酸基が多数存在することを示し、優れた親水性は酸化膜と水酸基との強い相互作用に起因すると提案した。合金基板上の薄膜はTiO_2に加えてNb_2O_5やSnOのような酸化物も混在するが、このような複合酸化物においても光触媒性能を発揮する。TiNbSn合金は約50GPaPという低弾性率を示すが、酸化膜を担持しても弾性率の増加は抑制できる。また、TiO_2担持TiNbSn合金は、陽極酸化膜の成膜時に高電圧を印加する程抗菌性能に優れることを明らかとした。以上の結果から、陽極酸化法によりTiO_2を担持したTiNbSn合金は、従来の合金機能を損なわずに新たに光触媒機能を付与することで、高機能生体材料として期待できることが明らかとなった。
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