研究課題
基盤研究(A)
本研究の目的は、波長172nmのVUV光を放射するXeエキシマランプを光源とする光微細加工技術の開発である。以下に記述する目標設定に基づいて研究を遂行し、VUV光化学に関わる基礎的な現象の理解を得るとともに、基礎的知見に基づいた実用性のある微細加工技術の開発に成功した。a)フォトレジストに依存しない微細加工技術の開発:高エネルギーフォトンにより有機分子材料の直接励起することで、フォトレジストを必要としない光微細加工技術を開発した。レジストの塗布・剥離工程が不要とし、微細加工プロセス工程を大幅に短縮化する可能性を有する新しい微細加工技術が誕生した。b)酸素増感VUV加工技術の開発:試料近傍にある酸素分子を励起し、一重項酸素原子に代表される活性酸素種を試料表面直上で発生させ、この活性酸素種の酸化力によって試料表面を酸化_表面修飾する。この酸素増感プロセスの開発によって、波長172nmの短波長紫外線であっても全く感光性を持たず、直接、光微細加工することのできない、例えば、飽和炭化水素単分子膜・高分子材料、の微細加工技術を開発した。c)再現性の高い加工線幅1μmの実現:VUV露光条件の最適化により、0.5μmレベルの微細加工が可能になった。この加工条件を採用することで、再現性の高い1μm加工が実現した。以上の研究成果に加え、加工速度を高めフォトマスク寿命を延ばすことができるナノプロキシミティ・フォトマスクの開発、高分子材料の表面改質技術への応用展開、VUV表面改質を駆使した単分子膜積層技術の開発など、研究申請時には考慮していなかった研究成果を得ることもできた。
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