研究課題/領域番号 |
17206075
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
早稲田 嘉夫 東北大学, 理事 (00006058)
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研究分担者 |
鈴木 茂 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40143028)
齋藤 正敏 新潟大学, 医学部, 助教授 (40241583)
蟹江 澄志 東北大学, 多物質科学研究所, 助手 (60302767)
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キーワード | オキシ水酸化鉄 / X線構造解析 / X線異常散乱 / リバースモンテカルロ法 / 原子配列 / その場構造解析 |
研究概要 |
水溶液中の鉄イオンからフェリック・(FeIII)フェラス(FeII)ポリカチオンが凝集する過程は、FeO_6八面体が連結する過程である。本研究では、これらのポリカチオンの凝集過程におけるFeO_6八面体連結の乱れ等を定量的に評価し制御することを目的としている。本年度は、凝集過程に及ぼす異種カチオンによる多面体ユニット置換や異種アニオンによるポリカチオンの変化の観点から、β-FeOOHの構造乱れに及ぼすCrや硫酸イオンの影響について調べた。ポリカチオンの中距離構造を定量的に明らかにするために、Crや硫酸イオンを添加したβ-FeOOHに対するX線異常散乱法(各元素の原子散乱因子の違いに着目してエネルギーの異なるシンクロトロン放射光を利用)による測定結果から、定量的な散乱プロファイルを求め、干渉関数を精度良く求めた。これらの結果に、リバースモンテカルロシミュレーション法を適用して、数ナノメートル領域におけるFe-O、Fe-Fe、O-Oの二体分布関数を求めた。これらの解析結果から、Crや硫酸イオンの添加によるβ-FeOOHの原子レベルの構造乱れを明らかにした。また、水溶液中で構造が変化するFe-O系の酸化物についても、局所構造解析や中距離構造の精密構造解析を行った。その測定のために、in-houseエネルギー可変X線発生装置を用いたEXAFS測定装置を導入し、水溶液中における水酸化物からオキシ水酸化物、酸化物への変換過程における局所構造に関する知見を得た。これらの過程においても、硫酸イオン等の異種アニオンが原子レベルの構造に大きな影響を及ぼすことを明らかにした。
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