研究課題/領域番号 |
17206076
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
鎌土 重晴 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30152846)
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研究分担者 |
井原 郁夫 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (80203280)
山下 健 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (40303185)
奥村 勇人 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (60324018)
山田 健太郎 長岡技術科学大学, 高性能マグネシウム工学研究センター, 助手 (80401785)
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キーワード | マグネシウム合金 / グリーンプロセス / 双ロール鋳造 / 液相リサイクル / 介在物除去 / 動的再結晶 / 地球温暖化ガス / 加工性 |
研究概要 |
本年度はマグネシウム合金素材創製技術のグリーンプロセス化を目指した(1)液相リサイクル、(2)高効率板材製造プロセスおよび(3)高性能マグネシウム合金の開発に取組み、以下の結果を得た。 (1)不純物・介在物除去技術の開発とその液相リサイクルへの展開 マグネシウム合金の耐食性改善のために添加されるMnは不純物としてのFeを内包したAl-Mn系化合物を形成し、大部分はマグネシウム溶湯との比重差により、るつぼ底に沈降する。ただし、一部残留する化合物のサイズが粗大な場合、成形性、延性等に悪影響を及ぼす。そのため、「耐食性と成形性を同時に満たすMn量を添加するための溶湯処理法」について検討した。その結果、溶湯撹絆時の流れを考慮し、効率的に化合物を捕捉するため、フィルターをるつぼの側壁および底部に設置した結果、0.5%Mn添加合金でも、3minの撹拌のみでFe量を300ppmからASTM規格値(50ppm以下)を満足する30ppmまでに低減でき、耐食性も既存合金圧延板以上にまで改善できることを見出した。 (2)雰囲気制御・水平双ルール連続鋳造技術の確立 本年度はロールに接触する直前まで大気には曝されず、厚さ5mm以下の圧延板を製作可能な水平双ロール連続鋳造設備を設計・製作するとともに、連続鋳造可能な溶湯温度および圧延速度等の製造条件について検討した。その結果、溶湯温度を凝固開始温度+20℃とし、圧延速度10m/minとすることにより、厚さ3mm、幅30mm、長さ6〜7mの圧延板材を直接作製することに成功した。さらに、従来のSF6ガス(GWP22200)に代えてGWPが100と小さいHF-C1234zeを使用し、代替ガスとして十分な効果があることを確認した。 (3)高強度・高延性・易加工性マグネシウム合金の開発 動的析出あるいは化合物微細分散と、それらの効果を生かした動的再結晶粒の更なる微細化によるマグネシウム合金の強度、延性および成形性向上を目指して、(i)Al量を5〜6mass%まで増加させたMg-5〜6mass%Al-0.15mass%Mn合金および(ii)Mg-2〜4mass%Zn-1mass%La合金の圧延板を作製し、合金元素量や焼なましの有無が機械的性質および成形性に及ぼす影響を評価した。その結果、検討合金では、動的析出あるいは化合物微細分散により、均一微細、かつ等軸な動的再結晶粒が形成され、引張強さ300MPa、伸び25%と高強度・高延性を発現するとともに、200℃以下でも既存アルミニウム合金および炭素鋼並のプレス成形性が得られることを明らかにした。
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