研究課題
大きな成果として、超流動乱流研究における理論先行の現状に対して、PIVによる流速測定が可能となったことで、実験も理論と共同歩調をとれる進捗状況とすることが出来たことが挙げられる。これは米国物理学会等により08年11月に開催された超流動乱流に関するPIV/可視化法の応用に関するシンポジウムで、我々・メリーランド大学・国立強磁場センター(NHMFL)による共同研究の成果としてもたらされた。そこでは、PIV結果は量子化渦糸-トレーサ粒子干渉の影響を受け、結果は常流動流速と渦群速度の両方(PTV)あるいは両者の平均値(PIV)を与えることが明確になった。その結果、PIVによる流速測定の与える情報の素性が明らかとなり、有力な測定手段として認識されるに至った。(本年度の)研究からの寄与は、主としてPIVの超流動乱流熱カウンター流ジェットへの応用に関するものである:1 トレーサ粒子発生法を改良して、低温域(1.9K以下)でもPIVが利用可能となり、また粒子状態も改善されデータの欠落が減り流速の乱流成分の検討が可能となった。2 速度の時間平均値に関して、空間減衰則、流速の空間分布(Gertler分布との一致)について明らかにした。更に乱流変動成分についても、速度の確率分布を求める等、定量的検討が可能となった。3 λ点(2.18K)から1.7Kまでのデータが得られ、流速の温度依存性が初めて明らかにされた。4 ベローズポンプジェットの計測結果から、粒子の常流動成分追随性は理論通りであることが判明した。5 関連研究としての超流動ヘリウムの非定常性キャビテーションについても有意な知見を得た。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件)
Journal of Physics, Conference Series 150
ページ: 032069-032071
Cryogenics 49(Web公開番号46)
Cryogenics 49(Web公開番号48)