研究分担者 |
篠原 俊二郎 国立大学法人九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 准教授 (10134446)
谷川 隆夫 東海大学, 総合科学技術研究所, 教授 (70207174)
羽田 亨 国立大学法人九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 准教授 (30218490)
船木 一幸 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 准教授 (50311171)
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研究概要 |
研究代表者らは、独自のアイデアでプラズマの生成から電磁加速の全てを無電極アンテナで行うプラズマロケットエンジンを世界に先駆けて提唱している。これは寿命制限の無い究極の電気推進(軌道上で太陽電池等のエネルギーにより推進剤をプラズマ化して電気的に加速噴射するロケットエンジン)である。今年度は,研究の最終段階として噴射速度50km/s程度で推進効率60%以上の推進性能を目指した。結果,Ar推進剤にあってはその1/7程度の推進性能を達成できた。即ち,独自の無電極プラズマ加速方式で最大7.7km/sまでの電磁加速を確認したが,課題として中性粒子との衝突によるプラズマ生成・加熱を避けるような種々の動作パラメターの最適化探索が必要と判明した。よって,今後の研究を進めるためには,数値解析による加速パラメターの最適化予測とその実験検証の両輪が不可欠である。一方,プラズマ生成では円筒型容器内径75cmの世界最大級の口径の装置で,アスペクト比A(直径と軸長の比)を極端に下げても,10^<12>cm^<-3>以上の高密度ヘリコンプラズマが得られた。Aは最小0.075(軸長5.5cm)で従来の0.5の世界記録を大幅に塗り替え,既存の電気推進であるイオンエンジンの発展型プラズマ源としても大きな有用性を示した。軸長を規定する終端板の影響も調べ,興味ある励起された定在波の特性(離散的モード数)が求められた。それらの成果をアメリカ物理学会の招待講演で発表,反響を呼んだ。一方,推進性能実験の帰結から理論予測が必須と判明したため,解析では無電極プラズマ加速のシミュレーション準備を行った。粒子シミュレーションによりプラズマを粒子集団として扱うセルフコンシステントな時間発展を計算する手法に加えて,プラズマ応答理論に基づく外部電磁場により励起されるプラズマ挙動の理論計算の見通しを得るまでに至った。
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