研究概要 |
1)ダイバータ・プラズマ発生装置の高性能化 ・RFジュール放電(30kW,100kHz)において、誘導トロイダル電場の強いトーラス強磁場側から重水素ガス供給を行うことにより圧力0.2Paにて水平方向18cm,高さ28cmにわたり電子密度0.6x10^<18>m^<-3>,電子温度〜15eVの大容量・高熱流プラズマの生成に成功した。低ガス圧の場合10ms程度の時間スケールで密度のピークが弱磁場側に移動する。原因は不明であるが、垂直磁場との絡み合いで自発トロイダル電流が発生し、閉じこめの良い領域が現れたのではと推測している。今後の魅力的な課題の一つである。一方、長時間放電では変圧器に用いているフェライトの温度上昇が克服すべき課題であることも明らかになった。 ・直流放電においてはLaB_6陰極から発したプラズマが周回後再び陰極と接触しないよう垂直磁場強度を30G迄得られるようコイルを水冷化した。これにより電子温度2-3eV,密度>1x10^<19>m^<-3>の低温高密度プラズマの生成に成功。2周回後は青色の発光となり再結合プラズマが形成されている。360nm迄の重水素原子バルマー線列では主量子数22程度までの高次の遷移が確認され、再結合プラズマ物理研究のための基盤が構築された。 ・大気圧マイクロ波放電プラズマジェットの生成に成功し、ランチャーを工夫し空気の混入しない気密容器への導入について試行錯誤を行い、問題点の所在を明らかにした。 2)ダイバータプラズマからの放射過程 ヘリウム原子発光線強度比からプラズマ・パラメータ(電子温度・密度)を評価する際、輻射捕獲の影響を明らかにしてきた。この認識に立ってその効果が小さいヘリウム線の組み合わせとして、587.7,706.5,447.1nmの優位性をRosmej教授の衝突輻射SOPHIAコードを用いて示した。また、探針で計測された電子温度揺動と706.5nmの発光線揺動間の強い相間を見いだし、発光線の時間変化の速さ(数μs)を上述のコードを用いて論じた。 3)周辺プラズマの揺動特性 核融合実験装置T-10,LHD,NAGDIS-II,HYBTOK-IIにおいて周辺プラズマにおける揺動特性の類似性を論じた。これらはプラズマのメモリー効果、大きなスケールの構造性、時間的間欠性に由来すると考えられ、.多くのプラズマ装置において自己相似性であるとマルチフラクタル解析を通して結論づけた。
|