プラズマのβ値(プラズマ圧力と磁気圧力の比)が上昇した場合の周辺部の圧力分布の形成についてMHD平衡コードHINT2により数値シミュレーションをおこなった。その結果、βの上昇とともにプラズマの圧力中心がトーラス外側に移動することにより(シャフラノフシフト)磁気面が乱れはじめ、磁力線に平行方向の輸送の寄与によりそこでの圧力勾配が減少することが明らかになった。体積平均β値はプラズマ中心のβ値とともに増えるが、磁気面の乱れに伴いその増加率が小さくなり、結果として平衡限界となっていると考えられる。 磁気島近傍の電流分布が磁気島修復に与える影響について、磁気島のX点におけるフィラメント電流のモデルによる初期的な結果を得た。それによると磁気島の修復は起こらず、逆にフィラメント電流による摂動磁場の側帯波、高調波の影響で磁気面がさらに乱れる結果となった。これについては今後、電流の分布についてさらに議論をする必要があると思われる。 種磁気島の大きさを変化させたときのプラズマ応答について、β値依存性を実験的に調べた。種磁気島が大きいほどプラズマの応答は大きくなり、且つβ値の上昇とともにその応答は強くなる傾向がみられた。この結果は理論モデルと定性的に一致している。一方、種磁気島が全く無いような実験条件では有意なプラズマの応答は見られなかったが、この点については上の理論モデルと違っていることがわかった。ポロイダルモード数の同定に資することを目的に磁束ループを増設して計測の整備を進めてきた。同一トロイダル角上に設置してある磁束ループの信号との極性の関係から、ポロイダルモードの偶奇を判別できる。実験では、m/n=2/1の磁気島が成長したと考えられる放電において、偶数ポロイダルモードを持つ誤差磁場強度が成長する有意な信号を観測することができた。今後、磁気島の動的応答と関連してこれらのデータ解析を進めていく。
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