研究課題/領域番号 |
17206099
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
井口 哲夫 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60134483)
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研究分担者 |
河原林 順 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80283414)
渡辺 賢一 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30324461)
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キーワード | 分析科学 / 量子ビーム / 原子・分子物理 / 量子光工学 / 同位体科学 / 質量分析 / 共鳴イオン化 |
研究概要 |
本研究は、同位体理工学における最も重要な要素技術である質量分析技術に関して、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)とレーザー共鳴イオン化質量分析(RIMS)の測定原理を結合し、それぞれの長所を活かしつつ弱点を相補うことで、超高感度でほぼ万能の新しい質量分析法:「誘導結合プラズマ共鳴イオン化質量分析(ICP-RIMS)」の概念を構築し、その成立性の実証と共に、分析能の最適化に向けた系統的な基礎実験と実用化のためのシステム設計提案を行うことを目的としている。平成20年度は、最終年度で、以下の研究項目を実施した。 1. ICPプラズマより引き出されるイオン・原子の系統的な実験的評価 ICP-RIMSシステムに最適なプラズマ生成のために、ICPプラズマがスキマーを介して真空中に引き出されたジェット流中のイオンおよび原子の速度分布測定法を開発した。イオンについてはパルス電場で、原子についてはレーザーによるイオン化により検出器方向にはじき、偏向電圧によるイオン軌道の変化より、ICPで導入されたイオンおよび原子の初期速度分布を測定し、理論的な検討を行った。 2. ICP-RIMSの原理実証とシミュレーション計算によるシステム設計検討 試料元素としてICPに導入されたCuに対し波長463.6nmの色素レーザーを照射することで、2光子共鳴励起・イオン化過程によるCuイオンを生成・検出し、ICP-RIMSの原理実証に成功した。ここで、ICPより導入されるイオンは、その初期速度分布をもとに設計したイオン光学系により効率的に除去できた。また、ICP-RIMSの総合的なシミュレーション計算を行い、レーザー共鳴イオン化からTOF質量分析へのプロセスの実験的な解明とともに、これらの知見をもとにした最適化を図ることで、本分析システムの実用化に向けた技術課題の抽出と工学設設計提案を行った。
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