研究課題
藍色細菌の生物時計分子装置は3つの時計タンパク質KaiA、KaiB、KaiCから構成されている。我々は、生物時計を時計タンパク質から構成された精巧な分子装置と捉え、その会合、解離、状態変化が時計発振に深く関わっていると考えている。我々は耐熱タンパク質が利用できる別府温泉産の好熱性藍色細菌Thermosynechococcus elongatesで先ず遺伝子移入系を確立し、時計の運行を生物発光リズムとして捉えられる生物発光リズム系を開発し、さらに時計タンパク質と時計関連タンパク質の大腸菌における大量生産法と高度精製法を確立、これらタンパク質の生化学的・生物物理学的解析とX線結晶構造解析を進めてきた。これまでにKaiA(我々による)とKaiCの原子構造がX線結晶構造解析などにより解明されている。本研究計画では、X線結晶構造解析により分解能2.6ÅでKaiBの4量体6角板状構造を解明し、その原子構造に基づいて時計機能に重要なアミノ酸残基と「サブ構造」を実験的に同定した(Iwase et al.,2005,J.Biol.Chem.280:43141-43149)。in vivoリズム解析により、サブ構造である負電荷に富んだ2列の尾根状構造(negative ridges)とその間に存在する正電荷に富んだ溝状構造(positive cleft)が、時計発振に重要であることを明らかにした。KaiBにおける構造機能相関の解明は世界初である。単細胞性緑藻クラミドモナスにおいて葉緑体の生物発光リズム系の開発に成功し(Matsuo et al.,2006,Mol.Cell.Biol.26:863-870)、シロイヌナズナにおいて高等植物の真の時計遺伝子であるPHYTOCLOCK 1のクローニングに成功した(Onai et al.,2005,Genes Cells 10:963-972)。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (8件)
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