研究課題
エソアカヤマアリのスーパーコロニーについて、巣内、近隣巣間、近隣コロニー間の血縁度をマイクロサテライトDNA分析によって測定した結果、いずれも低い値を示した。このことから、アルゼンチンアリなどの放浪種で考えられているようなボトルネック効果による高い血縁度の維持は起こっていないと推定された。そこでこれまでの研究結果を再検討し、1)このアリは一時的社会寄生によってコロニーを創設すること、2)結婚飛行時の観察によると、飛翔する有翅女王の多くが陸風によって海の方に飛ばされ、実際、海岸で有翅女王の死骸が多数見られていること、などから、飛翔に不利に作用する選択圧が女王の母巣内居残りや異巣内侵入を促し、多女王化→多巣化→融合コロニー形成を引き起こしたと結論づけられた。このことは、体表炭化水素組成が同巣個体間でもかなり異なり、同巣個体が出合っても触角上の感覚子から弱いパルスが大脳に送られていること、近隣巣の個体間でも緊張関係が見られること、などと整合している。最終年度は、成果の発表にも積極的に取り組んだ。2007年4月24〜27日、アメリカ合衆国フロリダ州ゲインズビルで開催されたヒアリ会議に東が出席し、外来侵入アリ類に関する研究成果を発表した。2007年8月4〜7日、琉球大学において総括会議を開催するとともに、日本蟻類研究会との共催により研究発表会を行った。2008年3月16日、福岡で開催された日本生態学会で外来侵入アリ類に関するワークショップを開催した。また、海游舎より「ヒアリの生物学:行動生態と分子基盤」を出版するとともに、3月17日、霞ケ関ビルで外来侵入生物や検疫の担当官を対象とした「外来侵入アリ類シンポシウム」を開催し、日本への侵入が懸念されているヒアリに関する啓蒙活動にも力を注いだ。
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