研究課題/領域番号 |
17207005
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
塚谷 裕一 基礎生物学研究所, 植物発生遺伝学研究部門, 客員教授 (90260512)
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研究分担者 |
堀口 吾朗 大学共同利用機関法人, 自然科学研究機構(岡崎共通研究施設)岡崎統合バイオサイエンスセンター, 助手 (70342847)
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キーワード | 葉形態形成 / 細胞増殖 / 補償作用 / 器官形成 / 発生・分化 |
研究概要 |
本研究は、葉器官形成の際に、細胞伸長と細胞分裂とがどのように調和・統合されることで、一つのまとまりのある器官を形作るのかを、解明するため、細胞分裂制御系の異常が細胞伸長制御系に影響を与える現象、「補償作用」(Tsukaya 2002 ; 2003)を手がかりに、当該4年間の研究期間内に、葉の器官形成という枠組み(コンテクスト)の中での細胞分裂統合システムの解明を目指す。本年度は、補償作用の解析のための基盤となる新たなカテゴリーの葉形態形成変異体の整備を進めた。すなわち、細胞数が減少するとともに細胞サイズが増大する補償作用の顕著なfugu変異体(Ferjani et al.投稿中)、補償作用を示さず、細胞数の減少のみが認められるoli変異体、細胞サイズの縮小のみが認められる変異体である(Horiguchi et al.2006)。補償作用を示す変異体の探索の間に、an3が顕著に補償作用を示すこと、AN3がco-activatorをコードしAtGRF5と相互作用することで葉の細胞増殖を正に制御していること(Horiguchi et al.2005)、また既知のer変異体も補償作用を示すことを見いだした(Ferjani et al.投稿中)。さらに、これら変異体を用いた発生遺伝学的解析から、補償作用には少なくとも3つの異なる経路が存在すること、補償作用を打ち消す変異体は、通常の細胞肥大にも関与していることなどが示された。以上の成果を背景にして、細胞伸長と細胞分裂とを統合するシステムの解明に向け、国際シンポジウムをウイーンにおいて開催し、国際共同研究体制の整備を進めた(Tsukaya and Beemster 2006)。
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