• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2007 年度 実績報告書

葉器官形成における細胞増殖統合システムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 17207005
研究機関東京大学

研究代表者

堀口 吾朗  東京大学, 大学院・理学系研究科, 特任准教授 (70342847)

研究分担者 山口 貴大  大学共同利用機関法人・自然科学研究機構, 基礎生物学研究所, 助教 (60450201)
キーワードシロイヌナズナ / 細胞増殖 / 細胞伸長 / 補償作用 / AN3 / OLI / GDP1 / リボソーム
研究概要

本研究は,植物の葉の形態形成の際に,細胞伸長と細胞伸長とがどのように調和,統合されることで,一つのまとまりのある器官を形作るのかを,解明することを目的としている。本年度は,転写因子の一種をコードするSPL15のmiRNA耐性変異は,ヘテロブラスティーの制御系を通じ,細胞増殖の促進と細胞伸長の抑制に関与するコをと示し,SPL15遺伝子が,葉の発生プログラムの統御上,重要な役割を持つことを明らかにした。
一方,葉の細胞数が減少し,細胞サイズが大型化する,補償作用を示す変異株からは,FUGU5遺伝子の同定にも成功した。これまでに単離したfugu5の3つのアレルは液胞局在型H+-pyrophosphataseをコードするAVP1に変異を持ち,これらはいずれも弱いアレルであった。avp1の強いアレルではオーキシンの細胞内への透過性が低下することが知られており,細胞内のオーキシン濃度の低下が補償作用を引き起こす一つの要因である可能性が示唆された。
上記の変異株とは対照的に,細胞数のみが大きく増加するgra-D変異株を用い,マイクロアレイ解析を行ったところ,4番染色体下部の遺伝子の発現レベルが軒並み約2倍に増加していることが判明した。遺伝学的なデータからこの領域が重複していることが示唆されていたが,この結果はそれを強く支持するものである。この結果を踏まえた分子遺伝学的解析から,ANTやCYCD3;1といった遺伝子が,gra-Dにおける細胞増殖の促進に,少なくとも部分的に寄与していることが明らかになった。
最後に,補償作用と密接な関わりを持つ,リボソームタンパクRPL5Bの欠損変異であるoli7は,as2背景で葉の向軸側が欠損する表現型を示すことを見いだした。oli7とは別のリボソームサブユニット変異株rp14dを見いだし,この変異株もまた,as2の表現型を劇的に促進することを明らかにした。この結果は,リボソーム機能が補償作用にも背腹性の制御にも重要な役割を果たすことを示し,翻訳を通じた遺伝子発現制御について,再考を促す重要な知見である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] Control of leaf morphogenesis by long- and short-distance signaling:Differentiation of leaves intosun or shade types and compensated cell enlargement2008

    • 著者名/発表者名
      Ali Ferjani
    • 雑誌名

      Plant Cell Monographs (印刷中)(掲載確定)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Analysis of leaf development in fugu mutants of Arabidopsis thaliana reveals three compensationmodes that modulate cell expansion in determinate organs2007

    • 著者名/発表者名
      Ali Ferjani
    • 雑誌名

      plant Physiology 144

      ページ: 988-999

    • 査読あり
  • [学会発表] 葉における細胞増殖期間を延長させる効果を持つgrandifolia-D変異の解析2008

    • 著者名/発表者名
      堀口 吾朗
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2008-03-20
  • [学会発表] 異形葉性に伴う葉の細胞数と細胞サイズの制御機構の解析2008

    • 著者名/発表者名
      堀口 吾朗
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2008-03-20
  • [学会発表] angustifolia3変異における補償作用を抑制するextrasmall sisters変異株の解析:核内倍数性の変化と細胞肥大化の関係2007

    • 著者名/発表者名
      堀口 吾朗
    • 学会等名
      日本植物学会
    • 発表場所
      東京理科大学理工学部
    • 年月日
      2007-09-09
  • [学会発表] 葉の細胞数と細胞サイズを制御する機構としてのheteroblastyの再検証2007

    • 著者名/発表者名
      堀口 吾朗
    • 学会等名
      日本植物学会
    • 発表場所
      東京理科大学理工学部
    • 年月日
      2007-09-09
  • [学会発表] 「ゲノム倍数性と細胞サイズ制御の関係:細胞神長欠損変異体の倍数化による解析」2007

    • 著者名/発表者名
      堀口 吾朗
    • 学会等名
      日本植物学会
    • 発表場所
      東京理科大学理工学部
    • 年月日
      2007-09-09
  • [学会発表] angustifolia3は葉の向背軸に異常を示す変異株の表現型を促進する2007

    • 著者名/発表者名
      堀口 吾朗
    • 学会等名
      日本植物学会
    • 発表場所
      東京理科大学理工学部
    • 年月日
      2007-09-07
  • [学会発表] angustifoiia3変異によって発現レベルが低下する遺伝子が葉の形成に果たす役割2007

    • 著者名/発表者名
      堀口 吾朗
    • 学会等名
      日本植物形態学会
    • 発表場所
      東京理科大学理工学部
    • 年月日
      2007-09-06
  • [学会発表] Establishment and use of genetic resources for characterization of leaf size/shape regulation with an emphasis of compensation syndrome2007

    • 著者名/発表者名
      Gorou Horiguchi
    • 学会等名
      Imaging and Phenotyping in Plants
    • 発表場所
      Montpellier,France
    • 年月日
      2007-07-18

URL: 

公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi