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2006 年度 実績報告書

線虫遺伝学とメタボローム解析を利用した生体膜リン脂質の脂肪酸鎖多様性の意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17207008
研究機関東京大学

研究代表者

新井 洋由  東京大学, 大学院薬学系研究科, 教授 (40167987)

研究分担者 高根沢 康一  東京大学, 大学院薬学系研究科, 助手 (90345257)
井上 貴雄  東京大学, 大学院薬学系研究科, 助手 (50361605)
キーワード線虫 / リン脂質 / 脂肪酸 / 脂肪酸転移酵素
研究概要

生体膜を構成するリン脂質には炭素数や二重結合の違いにより様々な脂肪酸鎖が結合している。このような「リン脂質脂肪酸鎖の多様性と非対称性」は昔から良く知られているが、その形成機構や生理的意義はほとんど明らかになっておらず、生体膜リン脂質分野における大きな課題である。我々は、遺伝学的解析が容易な線虫C.elegansを用いて、リン脂質脂肪酸鎖の多様性・非対称性に関与すると考えられる新規脂質関連遺伝子について、網羅的に欠損変異体を作製し、その生理機能ならびに反応機構を解析している。平成18年度における成果は以下のとおりである。
・線虫における細胞内型ホスホリパーゼA1の欠損変異体を作製し、上皮細胞の極性形成ならびに非対称分裂に異常が生じること、また、この異常を指標にしたサプレッサー遺伝子のスクリーニングを行い、この機構にある小胞輸送経路が関与することを見出した。
・上皮細胞に選択的に発現し、線虫の胚発生において上皮細胞シート形成に必須であるPAF-2について、ノックアウトマウスを作製した。PAF-2は哺乳動物においても腎臓、腸管、肝臓などの上皮細胞、極性細胞に高発現していたが、通常の飼育条件下では見かけ上表現型を示さなかった。そこで、様々な病態モデルにおけるPAF-2ノックアウトマウスの表現型解析を行った。まずLPSを用いて腎臓の上皮細胞にストレスを与えたところ、腎障害からの回復過程に異常を来すことを見出した。また、四塩化炭素を投与することにより肝実質細胞に障害を与えたところ、肝障害からの回復過程に異常を来す結果が得られた。LPSや四塩化炭素による組織障害には酸化ストレスが関与していることが知られており、PAF-2は酸素ストレスによって障害を受けた高度不飽和脂肪酸を持つリン脂質を代謝し、組織障害からの回復に寄与している可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Neuroprotective Role of Transgenic PAF-Acetylhydrolase II in Mouse Models of Focal Cerebral Ischemia.2007

    • 著者名/発表者名
      Kimiko Umemura
    • 雑誌名

      Stroke 38

      ページ: 1063-1068

  • [雑誌論文] A Novel Sulfotransferase Abundantly Expressed in the Dauer Larvae of Caenorhabditis elegans2006

    • 著者名/発表者名
      Hattori Kenji
    • 雑誌名

      J. Biochem (Tokyo) 139

      ページ: 355-362

  • [雑誌論文] Transgenic Expression of Group V, but not Group X, Secreted Phospholipase A2 in Mice Leads to Neonatal Lethality due to Lung Dysfunction2006

    • 著者名/発表者名
      M.Ohtsuki
    • 雑誌名

      J. Biol. Chem. 281

      ページ: 36420-36433

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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