研究課題
解糖系代謝産物であるglucose-6-Pの蓄積(代謝ストレス)に応答して、glucose透過酵素をコードするptsG mRNAがRNase Eに依存して不安定化すること、degradosome複合体の形成に必須なRNase EのC末端領域(scaffold domain)がptsG mRNAの分解に重要であることを見いだしている。また、ptsG mRNAの分解応答に関与する因子として、RNAシャペロンであるHfqとsmall RNA(sRNA)であるSgrS RNAが同定されている。これらの知見から、代謝ストレスによりSgrS RNAが発現誘導され、Hfqと協調してptsG mRNAと相互作用することで、RNase EによりptsG mRNAが分解される、という経路が明らかになってきた。今回、ptsG mRNAの分解応答におけるRNase Eのscaffold domainの作用について検討する目的で、RNase EとHfq/SgrSとの相互作用について共沈実験により検討した。その結果、RNase E-FLAGにおいてHfqとの結合が観察され、scaffold domainを欠失したRNase E701-FLAGにおいてはHfqとの結合は観察されなかった。同様に、代謝ストレス時においてはscaffold domain依存にRNase EとSgrS RNAとの結合が観察された。また、Hfq-FLAGを精製した結果、RNase Eは共沈したが、他のRNA degradosomeの構成因子は共沈しなかった。以上の結果からsRNAを介すmRNA分解制御を担うRNase E/Hfq/sRNA複合体の存在を明らかにした。この複合体は、miRNAあるいはsiRNAを含む真核生物におけるRISCと類似していることを新たに提唱した。
すべて 2006 2005
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