研究課題
基盤研究(A)
大腸菌tmRNA とリボソームによる翻訳とmRNA 分解制御について解析し、翻訳途上のリボソームが停滞した際にmRNA の切断を誘起し、tmRNA 系と連動してmRNA とタンパク質の双方を分解するというより巧妙な品質管理機構として働いていることを明らかにした。具体的には、翻訳終結因子RF の活性低下、連続するレアコドンを持つmRNA の翻訳、あるいはアミノ酸枯渇により生じるリボソームの停滞に応答していずれの場合にもmRNA が切断されることを見いだし、翻訳伸長の遅延あるいは停滞によるmRNA の切断と分解が普遍的な機構であることを示した。また、グルコース-6-リン酸の異常な蓄積により合成が誘導され、ptsG mRNA を標的としているHfq 結合性小分子RNA(sRNA)であるSgrS による翻訳抑制とmRNA の分解について解析し、SgrS が、ptsG mRNA の翻訳開始領域と部分的な塩基対を形成し、Rnase E に依存したmRNA の不安定化をもたらすこと、SgrS がHfq を介してRnase E と相互作用すること、SgrSによるptsG mRNA の抑制機構において、ptsG mRNA の翻訳阻害が第一義的であること、HfqがSgrS とptsG mRNA の塩基対形成を促進すること、さらには、ptsG mRNA の膜局在性がSgrSのptsG mRNA への効果的な作用に寄与していることなどを明らかにした。
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