研究概要 |
本研究では、主に体の頭部(脳)形成に焦点をあて、頭部(脳)がいかに決定され、誘導され、領域化(パターニング)されるかを明らかにする。具体的には、以下の4点について研究を行った。 1.初期発生における頭尾の決定機構 将来の頭尾を決定する内胚葉(DVE)が形成されるメカニズム、とくにBMPシグナルの役割を明らかにした。 2.Nodalシグナルによる頭部誘導 Nodalシグナルを伝える転写因子FoxH1の標的遺伝子をマウスゲノムから系統的に探索し、約150の候補遺伝子を同定した。FoxH1変異マウスでの発現の変化を調べた所、少なくとも5つの遺伝子が標的遺伝子であった。 3.レチノイン酸シグナルによる中枢神経系の領域化 レチノイン酸分解酵素(CYP26A1,CYP26C1)の変異マウスの解析より、これらの後脳で特異的に発現する代謝酵素が、体幹部から来るレチノイン酸が前方へ拡散することを防ぐバリアーとして働くことが明らかになった。また、CYP26B1を含めたすべてのCYP26を欠損すると、正しい頭尾パターニングができないことより、胚の頭尾の決定にはレチノイン酸が不活性化される必要がある。 4.分泌されたNodal,Lefty分子の可視化 NodalとLefty蛋白質分子の分泌後の挙動を調べるために、種々のtagをもつNodal,Leftyを発現するトランスジェニックマウスを作製した。
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