研究課題
本研究プロジェクトの初年度においては次に示す4項目について研究を行った。以下に各項目の概要を記す。(紫外線はUVと略記することがある。)(1)紫外線の人体影響に関する着用実験:着用実験の被験者は太陽光に直接暴露するグループおよび紫外線防護機能をもつ衣服を着用するグループに分けられ、皮膚温、心拍数、免疫機能を測定し解析を行った。衣服の紫外線防護機能が皮膚カラーの測定より確認された。心拍数変動解析および免疫機能の解析から、紫外線曝露により交感神経機能は亢進したが、副交感神経機能は照射後に有意に増大していることが認められた。(2)紫外線の影響に関する動物実験:ヘアレスマウスを用いて紫外線が活動や体温リズム、免疫器官、内分泌器官へ与える影響について検討を行った。本実験における光強度では免疫器官や内分泌器官への影響は明確なものは認められなかったが、活動リズムに関しては、紫外線が活動を抑制し、リズムが明瞭になる傾向が認められた。(3)奈良および香港における屋外の紫外線量の測定:奈良香港のUV測定データの比較から下記のような傾向が観測された。UVBの日平均瞬時値は奈良で0.05-0.3(W/m^2),香港では奈良に比べて夏で約1.5倍、冬で約4倍である。UVAの日平均瞬時値は奈良で2-16(W/m^2)であり香港では夏に若干、冬で約2倍高い。UVB, UVAの日射量に対する割合はUVBで奈良では0.5-1.5%に対し香港では1-2.2%であり、UVAでは奈良香港ともに4-6%であった。(4)衣料用布の紫外線バリア性評価装置の試作:試作UVバリア性評価装置は強度測定部および分光特性測定部からなる。強度測定装置を用いてUV透過率を評価した。UV透過率に及ぼす測定条件の検討、および、布構造の影響(厚さ、重さ、空隙率)に関する検討を行い基礎的知見を得た。UV分光透過性測定の結果から、布のような繊維集合体の場合、透過光中には直進成分だけでなく多数の散乱成分が含まれていることが推測された。
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兵庫県立大学看護学部紀要 (印刷中)