研究概要 |
本研究プロジェクトの第2年度においては次に示す5項目について研究を行った。以下に各項目の概要を記す。(紫外線はUVと略記することがある。) (1)太陽紫外線照射の人体影響:太陽紫外線照射による人体影響および衣服による防護に関する実験を、2006年6月5日香港において健康な被験者を用いて行った。免疫機能、自律神経系、皮膚への影響等にっいて解析した。衣服による保護のないグループでは、皮膚の紅斑レベルおよびメラニン含量が有意に上昇しており、衣服による保護効果が認められた。 (2)人工的条件による紫外線照射の人体影響:紫外線の人体影響を知ることを目的として、2006年9月積水ハウス社内人工気候室を使用して、健康な成人12名を対象に3泊4日の宿泊実験を行った。バイタライト40W40本を光源としてUVカットフイルムのあるなしによる効果について免疫機能、自律神経系、主観的評価に関して計測した。 (3)動物を用いた紫外線の生体影響:ヘアレスマウスを用いて、ブラックライトによるUVA照射が歩行活動リズムに及ぼす影響について調べた。その結果、UVAが同調因子として働くことが明らかとなった。また、紫外線カットフィルターにより、人工太陽光の紫外線をカットした場合、活動量が増加することが明らかになった。 (4)奈良および香港における屋外の紫外線量の測定:日本(奈良)と香港における紫外線(UVB, UVA)、全天日射量の観測を行ない、取得データからその季節変動を調べた。UVB、UVA,全天日射量は1.7〜4,1.1〜1.7,1.2〜2.1倍だけ香港が高かった。これら放射量とオゾン量との関係を調べた。太陽高度の影響を除くためにUVB/全天日射量、UVA/全天日射量と有効オゾン量、エアマスとの比較を行なった。 (5)衣料用布のUVバリア性評価装置の試作:布の紫外線(UV)バリア性の評価法に関する検討の一環として、光ファイバ型紫外/可視分光器を用いた装置を試作し、各種繊維素材からなる白色生機布および染色布の分光透過率および分光反射率を測定した。光ファイバ型分光器によって得られた布のUV分光特性と紫外線防止指数(UPF)による布の紫外線バリア性評価との関係について検討を行った。
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