研究課題/領域番号 |
17208007
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
桑野 榮一 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (00108672)
|
研究分担者 |
塩月 孝博 九州大学, 農業生物資源研究所, 研究チーム長 (80355734)
篠田 徹郎 九州大学, 農業生物資源研究所, 主任研究官 (10355620)
|
キーワード | 幼若ホルモン / 抗幼若ホルモン / 早熟変態 / エポキシダーゼ / 幼若ホルモンエステラーゼ / アポリポフォリンIII / 体液タンパク質 |
研究概要 |
本研究は、多様な生理作用を示す幼若ホルモン(JH)の作用機構の解明に不可欠な分子プローブとなり、また、新規昆虫成育制御剤として有望なJHの特異的阻害剤の開発を目的としている。本研究で見いだした新規抗JH活性物質、ethyl4-(2-benzylhexyloxy)benzoate(KF-13)がJH活性を示したことから、種々のKF-13誘導体の早熟変態誘導(抗JH)活性とJH活性を検定して、それぞれ構造活性相関を解析した。その結果、4-エトキシカルボニルフェノキシ基及び枝分かれ構造が両活性に必須であること、また、光学異性体では、両活性の本体はいずれもS体であり、R体の活性は低いことが判明した。KF-13誘導体の抗JH活性とJH活性はほぼ比例していた。KF-13は終齢前幼虫の体液中にJH esterase活性を発現させ、早熟変態を誘導した。KF-13及びJHアゴニストであるメソプレンの部分構造をリガンドとしたアフィニティ用担体を調製し、4齢幼虫体液を用いてそれぞれのリガンドに結合するタンパク質の探索を行った。その結果、KF-13に特異的に結合するタンパク質として、hemolymph proteinの一種とapolipophorin IIIを同定することができた。前者は機能未知のタンパク質で、後者は脂質輸送タンパク質lipophorinへの取り込みを補助する因子として知られており、KF-13はこれらと特異的に結合して、標的器官に運ばれていることが示唆された。JH生合成の鍵酵素の一つであるJH epoxidaseの特異的阻害剤のスクリーニングを、Sf9細胞で発現させたカイコのJH epoxidaseを使用して行った。P450阻害性のイミダゾール及びピリジン誘導体の中で、数種の1、5-二置換イミダゾール類が強い阻害活性を示した。
|