研究課題/領域番号 |
17208008
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
太田 明徳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30125885)
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研究分担者 |
堀内 裕之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00209280)
福田 良一 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助手 (50323481)
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キーワード | アルカン資化酵母 / 脂質代謝 / チトクロームP450 / パーオキシソーム / Candida maltosa / Yarrowia lipolytica |
研究概要 |
1)酵母Saccharomyces cerevisaeのphosphatidylserine decarboxylaseをコードする2つの遺伝子PSD1とPSD2を破壊し、CDP-ethanolamioneの合成酵素をコードするECT1をGAL1プロモーターの支配下においた変異株はグルコース存在下では必須リン脂質phosphatidylethanolamine (PE)を合成できず、生育できない。しかし、培地に鎖長8から12の短鎖脂肪酸を持つPEを添加すると生育できる。ethanolamineの水素の一部を重水素で置換した安定同位体(重水素)標識diC10PE(アシル鎖として炭素鎖長10の脂肪酸を持つPE)を調製し、これをこの変異株に与えて、培養後に脂質を抽出し、API3000型LC/MS/MSによって重水素標識PEを調べた。添加後20分からアシル鎖として炭素鎖長10と炭素鎖長16の、あるいは10と18の標識PEが出現し、時間の経過と共に炭素鎖長16と16、16と18の標識PEが出現した。この結果は酵母細胞によって短鎖PEのアシル鎖が正常の長さの脂肪酸鎖に取り替えられたことを示しており、酵母にリン脂質脂肪酸鎖のリモデリングシステムが働いていることを示唆している。 2)上記リモデリング系に働く酵素をコードする遺伝子を検索するためにS.cerevisiaeにおいて検索中である。購入した(昨年10月)LC-MSは微量の脂質分析に使用を開始したところである。 3)アルカン、脂肪などを炭素源として利用して生育できる酵母Yarrowia lipolyticaにおいて、アルカンの初発酸化はアルカン誘導型チトクロームP450によって行われる。そのうちの代表的なものをコードするALK1のプロモーターにはARE1と呼ばれる、n-アルカンによる誘導発現に必要な小配列がある。ARE1に結合する転写因子候補としてYas1pが同定されていたが、今回新たにYas2pを同定し、これらが共に存在するときにARE1に結合することを明らかにした。これらの因子はこの酵母におけるアルカン応答に重要な働きをする転写因子であることが示されており、この成果は国際誌に近々公表される予定である。
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