研究課題/領域番号 |
17208012
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
丸谷 知己 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (40112320)
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研究分担者 |
菊池 俊一 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (10250490)
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キーワード | 台風災害 / 二次災害 / 樹幹傾斜 / 斜面浸食加速 / 土砂生産 / 浮遊砂沈殿 / 連鎖性 / 地表態系の撹乱 |
研究概要 |
国内では、九州椎葉村の一ッ瀬川流域、三重県の風害跡地、北海道沙流川の2003年台風跡地において、流出土砂量と流域の撹乱について、現地調査(地形測量、浮遊砂流出観測、支流扇状地の成立区分)を行い、空中写真と衛星写真を用いて荒廃地分布を抽出した。沙流川流域では、台風による支流ごとの荒廃量とその後の浮遊砂流出との関係を明らかにした。その結果、約5年後でも台風により浮遊砂の降雨後の減衰率が著しく下がったままで、台風前後で浮遊砂のヒステリシスループ逆回りすりことを明らかにした。これは、台風による地表撹乱が、流域の土砂生産レジームを変化させ、河床土砂依存型の土砂流出になったことを示している。一ッ瀬川流域では、台風による撹乱(リカレンスインターバル)と河川のレジーム回復速度(リラクゼーションタイム)とから、流域が周期的(ここでは約18年)な荒廃期と安定期を繰り返していることがわかった。また、海外調査では、韓国東海岸江原道の山火跡地において台風被害の調査をし、江原大学校と共同で流出土砂解析に基づいて行った豪雨による侵食加速と土砂生産量の連鎖機構を学会誌に発表した。昨年に引き続き、ニュージーランド北島における台風起因の森林荒廃と土砂災害について、現地共同調査を行い、結果をまとめた。以上より、台風による地表生態系の撹乱が、時間経過に伴って水.土砂流出に連鎖的に波及するプロセスを下流への影響連鎖と考えて、一次被害の連鎖予測と二次被害への連鎖を定量的に明らかにした。さらに、これに基づき災害リスクの最小限の波及と最大限の回復を目指した森林マネージメントの手法について検討し、提案した。
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