研究課題
本研究は野外CO2付加実験(FACE)などプロセス研究と森林構造仮説(多種共存機構解析)を基礎にした生態系モデル研究を統合することで、極東アジアに広がる混交林の資源管理方針を北日本を主な対象に提供することを目的とする。このために、蒸発散と関連した木部形成、根系の発達と枯死、そして窒素付加に伴う虫害の発生と植物の防衛機能を実験的に解明する。針広混交林は温帯林と北方針葉樹林との移行帯と位置づけられ周極域3ヶ所に広がる。これらの混交林は属レベルでは共通であるが、土壌条件が異なるので、過去からのデータを比較検討することで精度高い森林推移を予測できる。事実、東シベリアの森林は西欧からの窒素沈着が肥料の役割を果たし、大気中CO2増加との相乗効果により、この30年の生産力は増加しているという。この例のように、森林の保全管理は近年の急激な変動環境の影響を踏まえて実施すべきである。そこで、落葉広葉樹の木部形成に及ぼす高CO2と窒素付加の影響を、トレードオフ関係にある被食防衛機能にも注目して解析することを特徴とする。最終的には高CO2で形成された木部の特徴を解明する。また、北日本では虫害の発生と食害量も増加傾向にあるので、危険地帯区分図を作製し成果品の1つとするべく基礎データの収集を急ぐ。高CO2条件下では、葉の生産が進み下層稚樹の成長を抑制すると予測されている。しかし、高CO2では葉が厚くなるなど構造も変化する。このため、下層に到達する光環境を詳細に観測することで、高CO2環境下での群落の生産環境を解明する。このデータは森林構造仮説を検証する基礎データを得た。事実、光補償点の低下が確認され種多様性は維持される予測データを得て目下、論文を作成中である。
すべて 2006
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