研究課題
二酸化炭素濃度([CO_2])の上昇が社会問題となっている。本研究では高CO_2環境に対する冷温帯樹木11種の生理生態特性の変化を解明し、CO_2固定能力の変化を評価することを目的とした。CO_2付加にはFree Air CO_2 Enrichment(FACE)を用いた(北海道大学札幌研究林実験苗畑に設置)。FACE内の[CO_2]は2040年頃を想定して500ppmvとした(対照区+130ppmv)。また、FACE内の土壌を半分に区切り、片面を富栄養の褐色森林土、もう片面を貧栄養の火山灰土壌とした。まずCO_2同化特性(光合成)の変化に着目した。火山灰土壌では高CO_2処理をしてもあまり増加しなかった。樹木は成長することで同化したCO_2を長期間貯留する。そこで樹幹成長の変化を調べた。高CO_2処理による成長の促進効果は、火山灰土壌やCO_2付加期間が長いと認められなくなった。CO_2貯留を評価するためには、材質の変化を明らかにすることも重要である。そこで、材質に影響を与える水分通道構造の変化を調べた。長期間の高CO_2処理によって、道管を流れる流量の継続的な低下が起こり、道管サイズが低下することが分かった。また、CO_2上昇に伴う冷温帯林のCO_2貯留量の変化を評価した。すると、褐色森林土でのみCO_2貯留量が増加した。この増加割合は他地域の成果と同等であった。本研究により、東アジア冷温帯林における高CO_2環境下でのCO_2固定機能変化に関する知見が得られた。
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