研究概要 |
1.DNA分子マーカーを導入した新林木育種システムの構築 家系鑑定システムの開発:アカシアマンギウムのゲノムDNAを用いて,TAC(triplex affinity capture)法を利用した2塩基繰返配列((CT)_n)マイクロサテライト(SSR;simple sequence repeats)マーカーの開発を行った。今回新たに45領域(繰返数10回以上)が単離され,これまでに得られた68領域と合わせて合計113領域となった。このうち,高変異性が期待できる20回以上の繰返配列が14領域(12.4%)で認められた。 2.パルプ化特性関連形質の種内・種間変異性の評価と精英樹クローンの選抜 優良パルプ化特性個体の選抜:インドネシアのジャワ島、Wonogiri産地試験地のアカシアマンギウム(225個体)とアカシアアウリカリフォルミス(128個体)のプラス木について容積密度,繊維長,リグニン量を評価した。容積密度で0.40〜0.60g/cm^3,繊維長で0.92〜1.23mm,リグニン量で24.5〜39.8%と,プラス木間で大きな変異が認められ,選抜育種により大きな育種効果が期待できることが確実になった。特にパルプ収量に大きく影響する容積密度で大きな変異があった。 精英樹の選抜:上記の結果をもとに,各プラス木の期待パルプ収量(材積×容積密度)を算出し,これに他の特性(幹通直性,繊維長,リグニン含有量)を加味して総合的評価を行い,精英樹を選抜した。最終精英樹数は両種それぞれ43個体である。 3.検定林レス時代検定法による次(第三)世代選抜集団と種間雑種採種園の造成 第三世代の精英樹選抜集団と種聞雑種創出のための採種園(bi-species seedling seed orchard)造成用の苗木生産のために,上記精英樹個体から自然受粉種子を採種した。
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