研究課題/領域番号 |
17208019
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
中村 將 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (10101734)
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研究分担者 |
小林 亨 水産総合研究センター, 養殖研究所, 主任研究官 (30221972)
平井 俊朗 帝京科学大学, 理工学部, 講師 (30238331)
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キーワード | 性分化 / 性決定 / 性転換 / 雌性ホルモン / 雄性ホルモン / アロマターゼ / ステロイド代謝酵素 / 生物細胞 |
研究概要 |
ゴマアイゴの性分化過程を調べた。その結果:1)性分化初期の生殖腺において、硬骨魚類では知られていなかった、体細胞組織の二重構造が観察された。2)卵形成のための減数分裂開始が著しく遅く、雄の精子形成開始とほぼ同時であった;3)生殖腺内部構造の発達に伴い、体細胞および生殖細胞の一部が生殖腺本体から離脱する現象が観察された。 雄性先熟魚クマノミの生殖腺の性分化とステロイドホルモンとの関係について調べた。ステロイドホルモン合成酵素であるコレステロール側鎖切断酵素,P450scc;11β-水酸化酵素(P450c11)に対する免疫陽性反応は、性分化前後の生殖腺に見られた。また、P450c11の反応は卵巣内に精巣組織が分化する時期に強くなった。 成熟したティラピア雌をアロマターゼ阻害剤(AI)で3ヶ月間処理すると精巣に転換することを明らかにした。この系を用いて、卵巣中の精巣組織出現部位を特定し、両性能を持つ生殖細胞、および体細胞を同定することを試みた。処理開始1ヶ月後の卵巣組織では、形態学的に精巣組織分化は認められない。しかし、精巣分化の特異的マーカーであるDMRT1の発現を調べたところ、卵巣の後端部分の卵巣薄板部分の体細胞において発現がみられた。また、この領域の生殖原細胞を取り囲む体細胞でDMRT1が発現しているものもみられた。AI2ヶ月処理後に部分的に精子形成を行っている卵巣を持つようになった。精子形成を示す部位は、卵巣の後端部に近い領域のみで、前端部ではみられない。精子形成部位の体細胞および精巣内輸出管様原基の上皮細胞は、セルトリ細胞および精巣内輸出管の上皮細胞に特異的に発現するDMRT1を発現していた。AIによる卵巣分化後の生殖腺の精巣への性転換は、生殖腺後端部分の卵巣薄板の体細胞が雄方向へと分化することによって開始することが明らかとなった。
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