研究課題
本年度はカナダにおける主要な肉牛地帯であるアルバータ州において調査を実施した上で、BSE感染牛発生にともなう日本市場損失後(調査後、日本はカナダ産牛肉輸入を解禁)の肉牛・牛肉産業の安全対策と対日輸出意向を解明した。主要な解明点は以下の通りである。1.繁殖農家では、出産期間に出生の確認をしやすい牧区に移し、一頭毎に誕生日を確認するよう努めている。2.フィードロットの素牛導入先はカナダ西部、アメリカ北西部が中心であるが、ハワイにも及び。12〜14ヶ月齢で導入し、3〜7ヶ月肥育する。したがって、と畜される牛の月齢は15〜21ヶ月となり、日本への輸出条件の争点となった20ヶ月以下を多くの牛が満たすことになる。3.高齢牛が処理されるパッカーは特定されており、大手輸出パッカーによる30ヶ月以上の取り扱いは少ないが、処理ラインでの識別のため30ヶ月以上には青の印を付けている。SRM(特定危険部位)の除去は30ヶ月以上に義務化されているが、大手輸出パッカーでは全頭について除去している。4.BSE検査実施の意向は、アメリカ資本の企業は反対、国内資本の企業は賛成と分裂している。5.20ヶ月齢以下の分布は全体の79%であるが、75%は月齢の判断が不可能、4%が可能である。アルバータ州は月齢証明に積極的、連符政府は消極的である。6.カナダ牛肉産業には「20ヶ月齢以下は月齢証明を行うがBSE検査はなし。20ヶ月以上は月齢証明があるなしにかかわらずBSE検査をする」、または、「20ヶ月齢以下の月齢証明があるものはBSE検査なし。20ヶ月以下の月齢証明がないものと月齢証明のあるないにかかわらず20ヶ月齢以上のすべてについてBSE検査をする」という意向がある。月齢証明とBSE検査にはコストが伴うが、それらを低く抑えつつ、将来的には20ヶ月齢以上の牛肉も輸出しようという狙いがうかがえる。
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畜産の情報 国内編 193
ページ: 4-15
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ページ: 6-16
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畜産コンサルタント 41・9
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公庫月報 53・5
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