研究課題/領域番号 |
17208020
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
農業経済学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
甲斐 諭 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70038313)
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研究分担者 |
新山 陽子 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10172610)
中島 紀一 茨城大学, 農学部, 教授 (50015848)
松田 友義 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (70159151)
中嶋 康博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (50202213)
佐々木 市夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (70125384)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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キーワード | フードシステム / 情報の非対称性 / BSE / HACCP / ISO / トレーサビリティ / 認証 / リスクマネジメント |
研究概要 |
本研究は、現代フードシステムの中で肥大化し、ブラックボックス化した加工・流通・外食部門と消費者との間の食情報の非対称性を、世界各地から収集した情報の公開により解消し、食の安全・安心システムを確保するための条件解明を課題とした。 本研究の成果を5点に要約する。 第一は、北米牛肉産業としてアメリカと一体化しているカナダのBSE対策について、リスクマネジメント強化とコスト削減はトレードオフにあり、これらの折りあいをどの水準につけているのか、また、その背景と考え方、さらには、月齢証明とBSE検査を代替的に扱いコスト削減を図ろうとしていることを明らかにした。 第二は、アジア各国のHACCP、ISOに基づく衛生管理、認証・表示制度、トレーサビリティー・システムの導入、特徴を国際会議への参加や専門家との情報交流を通して明らかにし、制度の成果を考察した。 第三は、欧州における畜産副産物、食品残さ、抗生物質利用のリスクマネジメントによる規制と有効活用の妥結点とその根拠を明らかにするとともに、日本との差異を明確にした。 第四は、豪州は牛肉、乳製品の輸出国かつ安全・安心システムの先進国であり、日本を主要な市場と捉えてきたが、最近は需要の拡大が急速な中国とロシア市場を重視している。生産では、相次ぐ干魃による水不足、穀物多給化傾向にある中での穀物高騰に直面し、生産量の不安定性の問題を抱え込むようになったことを明らかにした。 第五は、アジアの途上国における家畜衛生の改善は、生産者の経営リスクを軽減させるだけでなく畜産物を消費者に提供する上で重用であるにもかかわらず、遅々として進んでいない。被害を最小限に抑える予防原則にしたがったリスクマネジメントの導入が必要であることを強調した。 これらの成果は、学会だけではなく農業、食品関係者、消費者を対象とした会議等でも発表し、世界の安全・安心システムの情報発信に努めた。
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