研究課題
(1)枯草菌ルビスコ祖先タンパク質のAsp203及びGlu204への変異導入の結果、DK-MTP-1-Pエノラーゼ活性は完全に失活した。これらの残基はルビスコのエノール化反応必須残基であり、祖先タンパク質にも共通に必須であることが明らかとなった。また、これらの変異導入枯草菌変異株も作成し、次年度の準備を行った。さらに、必須残基のうち1残基変異のみを有するBordetella祖先タンパク質を発見した。そこでBordetella祖先タンパク質がルビスコ活性を有しているかを検証したが、活性は検出できなかった。現在、必須残基をルビスコ型に置換した組換えB.bronchisepticaと枯草菌祖先タンパク質の作成を行っている。一方、ルビスコがオキシゲナーゼ触媒能を獲得した経緯において基質RuBPを用いることも一つの要因だと考えられた。興味深いことにRuBP合成を触媒するホスホリブロキナーゼ(PRK)はウリジンキナーゼ(UK)と高い相同性を示しUKがPRKの祖先タンパク質だと考えられた。現在、UKからPRKへの人工分子進化研究により、RuBPが基質となった経緯を解析している。次年度以降、祖先タンパク質及び基質の両面からオキシゲナーゼ触媒能を獲得した分子進化過程を解析する。(2)約1万粒のEMS処理アラビドプシス種子から、ルビスコ生合成異常を示す変異株の選抜を行い、新たに4系統を取得した。特にルビスコ量が野生型の20%に低下している系統を取得し、ルビスコ生合成に重要な遺伝子だと考えられた。現在、得られた変異株変異遺伝子座のマッピングを行っている。取得系統のうち、1系統のマッピングが完了し、原因遺伝子を決定した。その遺伝子はトウモロコシの葉緑体RNAスプライシング因子CRSと相同性を示し、今後CRSとルビスコ生合成との関連性を遺伝学的、生化学的手法により詳細に解析する。
すべて 2005
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Research in Microbiology 156
ページ: 611-618
Acta Crystallographica Section F 61
ページ: 595-598