研究課題/領域番号 |
17208031
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
横田 明穂 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (40118005)
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研究分担者 |
明石 欣也 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (20314544)
蘆田 弘樹 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (50362851)
宗景 ゆり 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (30423247)
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キーワード | 光合成 / 炭素固定 / ルビスコ / 機能分子進化 / 機能改良 / カルビン回路 / 古細菌 |
研究概要 |
古細菌や枯草菌に広く分布するルビスコ様蛋白質(RLP)の一次構造中に、光合成ルビスコの炭酸ガス固定に必須の残基を導入した。しかし炭酸ガス固定活性が導入されず、今後さらに他の残基を導入することとなった。紅藻ガルディエリアのルビスコが持つ優良ルビスコ部位であるループ6ラッチ構造をラン藻ルビスコに導入した結果、ラン藻ルビスコの炭酸ガス固定能力に改善が認められた。そこでさらに、タバコルビスコにもこのラッチ構造を導入しつつある。すでに、ラッチ構造導入ルビスコを持つタバコの作出には成功し平成20年度にその機能解析と行う予定である。 枯草菌に存在するメチオニンサルベージ経路の進化的役割として、太古自然環境下でのリボースからのリジン等のアミノ酸合成が考えられる。そこで枯草菌メチオニンサルベージ経路に関与する酵素群のリコンビナント蛋白質を作成し活性測定したところ予想どおりの活性が検出された。今後ここの反応の動力学的な解析を手がける予定である。 カルビン回路の進化についても身を見張る発見があった。地球上生物の進化の過程で、ラン藻が最初に光合成を始めたのは、現在から35億年ほど前であると推定されている。それ以前にすでにルビスコを含めてカルビン回路の原型となる代謝経路あるいはそのための遺伝子セットが存在していたはずである。光合成カルビン回路が実現するには、古細菌などの糖代謝経路にルビスコとルビスコの基質であるリブロースビスリン酸合成酵素(PRK)が導入される必要があった。我々は最近、これら両酵素が遺伝子が光合成生物の進化以前にすでに一部の古細菌で機能したいた可能性を示す結果を得つつある。今後のこの研究についても強力に推進していく。 これまで分子遺伝学的に同定してきた機能未知の葉緑体蛋白質合成系関連遺伝子の機能を同定しようとしている。これまで、ルビスコを正常の合成できないシロイヌナズナ変異株12株から、その影響が特に強力であるnara4,5,12遺伝子と蛋白質の機能を確定しうつあり、今後も引き続き行う。 最近ある種のラン藻で機能が明らかにされたRbcXの機能を、植物葉緑体でのラン藻ルビスコ生合成においても重要な役割を担っていることを見出した。また、ラン藻光合成において重要な役割を果たしているCO_2濃縮系に関与するccmM遺伝子内に含まれるrbcSホモログのルビスコの機能発現における役割について解析している。
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