研究課題/領域番号 |
17209006
|
研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
岡田 泰伸 生理学研究所, 細胞器官研究系, 教授 (10025661)
|
研究分担者 |
清水 貴浩 生理学研究所, 細胞器官研究系, 助手 (40353437)
高橋 信之 生理学研究所, 細胞器官研究系, 助手 (50370135)
井上 華 生理学研究所, 細胞器官研究系, 特任助手 (20390700)
浦本 裕美 生理学研究所, 細胞器官研究系, 特別協力研究員 (50390696)
|
キーワード | アポトーシス / ネクローシス / アニオンチャネル / 活性酸素種 / 心筋細胞 / ニューロン / 癌細胞 / 虚血 |
研究概要 |
細胞は正常時には膨張や縮小を強いられたとしても元の容積に戻るという容積調節能を持っている。しかし、アポトーシス時においては細胞は丸ごと次第に縮小化(Apoptotic Volume Decrease : AVD)し、ネクローシス時においては反対に次第に膨張化(Necrotic Volume Increase : NVI)して死んで行く。細胞容積調節機構には多種のイオンチャネルやトランスポータが関与しているので、細胞死過程においてもこれらの機能異常が伴われるものと考えられる。本年度には、アポトーシス/AVD誘導やネクローシス/NVI誘導における容積感受性外向整流性(VSOR)アニオンチャネルの役割を明らかにすることを目的に研究を進め、次のような成果を得た。はじめにアポトーシス/AVD誘導に関しては、(1)癌細胞(KB細胞)の抗癌剤シスプラチンによるアポトーシス誘導時にVSORチャネル電流の亢進がみられること、(2)培養心筋細胞における虚血・再灌流刺激によるアポトーシス誘導をVSORアニオンチャネルブロッカー投与が救済すること、そして(3)虚血・再灌流性心筋細胞アポトーシスに活性酸素種(ROS)が重要な役割を果たしていることを見出した。次に、脳虚血時におけるグルタミン酸放出によってもたらされるニューロン過興奮毒性によるDendrite上のビーズ状腫脹(varicosity)を伴うNVIと、その持続によってもたらされるネクローシス死におけるVSORアニオンチャネルの役割を調べ、まず(4)パッチクランプ法によってグルタミン酸レセプター刺激によって生じたvaricosity上にVSORアニオンチャネルが著しく活性化していることを確認、次に(5)VSORアニオンチャネルのブロッカー投与によりvaricosity形成のみならずその後のネクローシス死も著しく抑制されることが明らかとなった。
|