研究課題/領域番号 |
17209016
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
柳 雄介 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40182365)
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研究分担者 |
竹田 誠 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (40311401)
大野 真治 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50419529)
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キーワード | 麻疹ウイルス / ウイルス受容体 / SLAM / CD150 / 組換えウイルス / 動物モデル |
研究概要 |
われわれは、麻疹ウイルスの受容体がヒト免疫系細胞に発現しているSLAM(CD150)であることを先に明らかにした。マウスの培養紬胞にヒトSLAMを発現させると麻疹ウイルスはマウス細胞に感染できるようになる。SLAMは免疫グロブリン・スーパーファミリーに属する分子であり、そのVドメインが受容体機能に重要である。そこで、麻疹の小動物モデルとして、SLAMのVドメインをコードするエクソンを、対応するヒトのエクソンで置き換えたSLAM/ックインマウスを作製した。SLAMノックインマウスは免疫系の細胞(胸腺細胞、 TおよびB細胞、樹状細胞)にヒト型SLAMを発現していた。野生型マウスの脾臓細胞に麻疹ウイルスは全く感染しなかったが、SLAMノックインマウス由来の脾臓細胞には感染し、ウイルス増殖を認めた。但し、麻疹ウイルス野生株と異なり、ワクチン株はほとんど増殖しなかった。in vivoでは、腹腔内、経鼻、散脈内のいずれの経路からの接種でも感染が成立しなかった。そこで、ウイルス抵抗性に重要な役割をしているインターフェロン系に欠陥のある1型インターフェロン受容体欠損マウスと交配し、麻疹ウイルスを感染させた。その結果、全身のリンパ組織で麻疹ウイルス野生株の感染、増殖を認めた。やはり、ワクチン株はほとんど増殖しなかった。また、感染マウスから得られた脾臓細胞はマイトジェン刺激に対する増殖反応が低下し、ヒトで見られる免疫抑制を再現できた。SIAM/ックインマウスは、1型インターフェロン受容体欠損マウスと交配させることにより、人の感染における麻疹ウイルスの免疫系細胞へのトロピズム、免疫抑制作用、ビルレンスを再現し、麻疹のよい小動物モデルになることが分かった。組換えウイルスに関しては、高率かつ安全にウイルスを回収する方法を確立し、それを応用して分節ゲノムをもつ組換え麻疹ウイルスを作製することに成功した。
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