研究概要 |
RAPLに会合するserine/threonine kinase Mst1/STK4を同定し、Mst1がRap1-RAPLシグナルを下流に伝える重要なキナーゼであることを平成18年度論文発表した。リンパ球のMst1をRNA干渉法でknockdownすると、ケモカインや抗原刺激によるLFA-1接着が阻害される。そこでMst1の生理的機能を個体レベルで明らかにするためにジーンターゲティング法による遺伝子欠損マウスの作製を進ぁている。Mst1は他の組織にも発現しているため、Cre-loxPの系によるconditional knockoutをする。Neo-loxPサイトをMst1遺伝子エクソン1に導入したES細胞(C57BL/6由来)を樹立し、Cre recombinaseの一過性発現によってfloxed Mst1アリルを持つES細胞を得た。Balb/Cマウス由来の受精卵に注入し、キメラマウスを得え、さらにgermline transmissionを確認した。このマウスを用いて今後、Creトランスジェニックマウスと交配し、Tリンパ球(Cre-Lckマウスとの交配)、Bリンパ球(CD19-Cre)での遺伝子欠失、或いはCAG-Creと交配してknockoutマウスを樹立する。 RAPL欠損TCR-Tg(H-Y,OT-I)マウスやCre-loxPによるT細胞特異的RAPL-Tgマウスが樹立し、Lck-Cre Tgマウスとの交配によってT細胞系列に発現された。胸腺細胞のDP集団が現象し、DNが増加していた。接着、増殖への影響を解析している。OT-IIマウスとの交配も進めている。 前年度の生体内顕微鏡によるリンパ球ホーミングの解析からRAPL-/-リンパ球は高内皮静脈による接着過程で血管内皮への安定した接着が低下し、その結果リンパ組織への移動が障害されている。リンパ球ホーミングの過程をin vitroで再構築し、ローリングから停止にいたる瞬時の接着過程を制御するシグナルを明らかにするため、BAF細胞にインテグリンα4β7を発現させた。α4β7を発現したBAF細胞はケモカイン依存性にMAdCAM-1に結合でき、生理的還流下にローリングから停止に至る過程を観察する実験系を樹立した。現在、Giファミリーの三量体Gタンパクアイソタイプを調べ、Gαiとβγのシグナルからリンパ球停止に至る過程でRap1やPI3K,PKC,PLC,calciumの必要性を解析中である。
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