研究課題/領域番号 |
17209022
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
酒井 敏行 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (20186993)
|
研究分担者 |
曽和 義広 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (70315935)
吉田 達士 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (80315936)
与五沢 真吾 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (70381936)
|
キーワード | がん / テーラーメイド予防 / p53-RB経路 / リ・フラウメニ症候群 / 家族性メラノーマ |
研究概要 |
1)ヒトに用いる癌化学予防剤の選択基準の確立に関する研究 多くの癌で、癌抑制遺伝子p16の不活性化が認められている。我々は、p16のファミリー遺伝子であり、G1期での細胞周期停止に関与するp15^<INK4b>の発現誘導剤の探索を行った。その結果、ZD1839(gefitinib, Iressa)や、新規MEK阻害剤であるJTP-70902に、p15<INK4b>の発現誘導能を見いだした。今回の成果は、p16が不活性化している場合のp15誘導による癌化学予防法の開発に重要な示唆を与えるものである。 2)発癌家系であるリ・フラウメニ症候群に対するテーラーメイド予防に関する研究 リ・フラウメニ症候群は、癌抑制遺伝子p53遺伝子が失活している悪性腫瘍多発家系である。p53により活性化されるp53標的遺伝子のタンパク量が減少するために、細胞増殖抑制やDNA修復やアポトーシスがおきなくなっている。そこで、p53標的遺伝子として、GI期での細胞周期停止に関与しているp21と、アポトーシス誘導に関与しているDR5の発現を誘導する薬剤・食品由来成分の探索を行った。その結果、p21発現誘導成分の検討において、新規HDAC阻害剤であるYM753や、植物成分であるsulforaphaneや cryptolepineに、p21の発現誘導能を見いだした。また、DR5発現誘導成分の検討において、カロテノイドであるhalocynthiaxanthinやperidinin、リポキシゲナーゼ阻害剤であるnordihydroguaiaretic acid、抗血小板薬であるdipyridamoleに、それぞれDR5発現誘導能があることを見出した。そしてそれらと、DR5の特異的リガンドであり、抗腫瘍性サイトカインであるTRAILとの併用によって、腫瘍細胞に対するアポトーシス誘導が、TRAIL単剤に比べて著しく増強することを確認した。今回の成果は、リ・フラウメニ症候群に対するテーラーメイド予防法の開発に重要な示唆を与えるものである。
|