研究課題
血管内皮系細胞移植による血管再生医療の開発は、移植早期でのドナー細胞の死滅と心筋細胞への分化能の欠如から、臨床的に有用な心不全治療法ではない。高率な心筋分化能を持った幹細胞は未だ樹立されず、これまで世界で心筋再生治療を受けた症例はいない。2003年に申請者らは世界に先駆けて、心筋分化可能なマウス心臓内幹細胞を発見した。また、2007年には世界で初めてヒトの心臓生検サンプル由来の単一細胞からcardiosphereを形成させ、心筋幹細胞の単離・増幅に成功し、拍動性心筋細胞への分化及びマウス虚血心への移植後改善効果を報告した。さらに、bFGFがこの心筋幹細胞の特異的増殖因子であることを発見した。幹細胞単独移植ではドナー細胞の生着性が数日以内と極端に低く、有効な心筋細胞再生を目指すためには、細胞培養時と移植時にbFGFとの併用が必須であることを明らかにした。既に検証を終了した前臨床試験(大動物ブタ85匹の陳旧性心筋梗塞モデル)により、我々はゲラチンハイドロゲルシートによるbFGFの心筋組織への徐放が、心筋微小血流を増加させ、細胞周囲環境を改善し、ヒト心臓内幹細胞移植後の生着性延長(3週間以上)と心筋分化能改善(8倍以上)を介して、心臓機能の長期改善を見出した(6ヵ月間、心臓収縮能を13%改善)。また、移植細胞数の漸増実験により心機能の有意改善に必要な移植細胞数を決定した。平成20〜21年度内は臨床試験プロトコルの厚生労働省による承認と臨床試験届けの提出、低心機能冠動脈バイパス実施患者のリクルート、第I/Ila安全性・有効性に関する多施設共同臨床試験を開始する。中間評価後には、第II相RCTを開始し、エンドポイントは従来の標準治療と比較して、ヒト心臓内幹細胞とbFGFの併用移植療法による心機能の改善と梗塞サイズの縮小効果とする。
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