研究課題
脊髄小脳変性症6型(SCA6)の発症機序を解明し、治療方法を確立するために、SCA6マウスモデル、細胞モデル、SCA6患者剖検脳を用いて病態の解析を行うとともに、ポリグルタミン毒性を抑制する治療法の開発を推進してきた。本年度の主な成果は以下のとおりである。1)SCA6ノックインマウスモデルの解析から、SCA6変異はCav2.1チャネルの基本的性質には変化を及ぼさないこと及び年齢依存的に変異チャネルがマウス小脳に蓄積し、凝集体を形成することをあきらかにした。2)SCA6変異のCAGリピートの伸長に伴って、ポリグルタミンをコードするMPI型スプライスアイソフォームの発現比率が増大することを細胞モデル及びマウス小脳で確認し、SCA6変異が遺伝子発現のレベルでも病態に寄与すること、及び3)このスプライス変化は小脳におけるスプライス因子の発現量の変化と関連していることを見出した。4)患者脳において、Cav2.1チャネルから伸長したポリグルタミン鎖を含むCav2.1チャネルC末端断片が切断されることを確認した。5)主に細胞モデルを用いて、Bax-inhibiting polypeptideがKu70のアセチル化を介してポリグルタミンの細胞毒性を抑制することを発見した。6)SCA6などの優性遺伝性神経変性疾患に対してsiRNAを用いて変異遺伝子産物を特異的に分解する方法を細胞レベルで確立した。7)CAGリピートとスプライス変異を同時にCacnala遺伝子エクソン47領域にノックインすることにより、変異Cav2.1チャネルを過剰にプルキンエ細胞に発現する新たなSCA6マウスモデルを作製した。このモデルでは若年より著明な小脳失調とプルキンエ細胞変性を示した。今後このモデルの詳細な解析から病態の解明が進展することが期待される。
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