研究課題/領域番号 |
17209045
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
名川 弘一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80228064)
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研究分担者 |
渡邉 聡明 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (80210920)
北山 丈二 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20251308)
釣田 義一郎 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80345206)
武井 芳樹 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10372369)
津野 寛和 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50282637)
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キーワード | 血管内皮細胞 / hRFI / 抗癌剤感受性 / アポトーシス / p53 / 血管新生阻害 / HUVEC / HSE |
研究概要 |
(1)抗癌剤5-FU感受性に対する新規遺伝子h-RFIの作用を検討した。hRFI蛋白はすべての大腸癌細胞株において発現していたが、その発現量は細胞ごとにさまざまであった。HCT116を用いて、hRFI発現レベルの異なる2種類のhRFI過剰発現安定株(HCT116/RFI-high、HCT116/RFI-low)と、1種類のコントロール(HCT116/LacZ)を作製し、5-FUを用いてアポトーシスを誘導したところ、hRFI発現量の多い細胞ほど有意にアポトーシスが減少しており、チトクトームC放出が抑制されていた。また、hRFIの過剰発現細胞株ではBcl-2とBcl-xL蛋白の発現が特異的に増加していたが、bcl-2ファミリー蛋白(Bax、Bak、Bad、Bid、Mcl-1)およびIAPファミリー蛋白(XIAP、cIAP-1、cIAP-2、Survivin)の発現には変化を認めなかった。さらに、EMSA法にてhRFIによるBcl-2とBcl-xLの増強は、p53に依存していることが判明した。 (2)マウスの脾臓細胞をGMCSF, IL-4の存在下に樹状細胞(DC)に分化培養させる過程で、ヒト血管内皮細胞(HUVEC)、マウス肝類洞血管内皮細胞(HSE)のlysatesを混入し、その抗腫瘍効果をcolon26の皮下腫瘍モデルにてin vivoにて検討した。皮下腫瘍接種の3日前に予防的に投与する実験系にて、DC投与は有意に腫瘍の成長を抑制したが、HUVEC、HSEのlysatesにてパルスしたDCはさらに強い抗腫瘍効果を示し、腫瘍サイズは、コントロールの約80%程度まで強く抑制された。一方、繊維芽細胞のlysatesにてパルスしたDCは、DCのみの効果と比べて有意な差を認めなかった。以上の結果から、内皮細胞に特異的な免疫反応を介した血管新生阻害現象があることが証明された。
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