研究概要 |
1.緑色野菜の成分Surforaphaneが増殖を抑制し、マトリックス分解酵素の産生、コラーゲンゲル内での管状構造構築能を強く抑制効果を有し、血管新生を抑制することによって抗腫瘍効果を発揮する事に加えて、血管内皮細胞のBAXタンパクを活性化することにより、内皮細胞のアポトーシスを誘導することを証明した。 2.抗腫瘍薬ゾレドロン酸が血中の血管内皮前駆細胞の内皮細胞への分化を抑制する機能を有することを発見し、これがゾレドロン酸の抗腫瘍効果の一因となっている可能性があることを証明した。 3.腸管運動機能を調節する5-HT4receptor(選択性セロトニン受容体)阻害薬が、血管新生抑制作用を持つことを証明し、大腸癌などの癌腫にも臨床応用できる可能性を示唆した。 4.マウスモデルにおいて、グルタルアルデヒドで固定した同種の血管内皮細胞をパルスすることにより、大腸癌転移に効果を示すことをうけて、多発性転移を有する大腸癌患者のうちICが得られた患者14名を対象として、HLA型を特定し、これにマッチした臍帯由来血管内皮細胞(HUVEC)を培養、固定後、一回5x10^5個のHUVEC患者の皮下に免疫し、その後の治療効果を臨床的に検討した。注射部位に遅発性細胞性過敏様の発赤が一例に見られた以外に有意な有害事象は認めなかった。RECISTに従った効果判定ではCR,PRは認めなかったが、3例で進行スピードが抑制されたと考えられる症例(SD)を認めた。ちなみに、同様の検討を14例の脳腫瘍で行い、PR/CR/SDをあわせた有効率64.3%(9例/14例)が得られた。また、これらの症例にて、治療後にELISPOT法と細胞障害試験にてHUVECに対する特異性細胞免疫が誘導されている事を証明した。
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