研究課題
これまで、子宮内膜のSP分画に内膜幹細胞が濃縮されていることを明らかにしたが、今年度は、さらにSP分画のなかでCD31+/CD45-細胞が、少なくともin vitroにおいては、内膜間質細胞、血管内皮細胞、および血管平滑筋細胞に分化し得る能力を有することを明らかにした(論文準備中)。現時点では、内膜を構成する重要なコンポーネントである腺上皮細胞に分化する細胞集団を、SP分画から同定・単離するには至っていない。子宮筋については、幾つかの表面マーカーを組み合わせることにより、SP法に依らない新しい方法で子宮筋幹細胞を分離することに成功した。すなわち、この分画はSP細胞を多く含み、SP法で単離した幹細胞集団と同様、1.低酸案下で好んで増殖する、2.脂肪、骨、軟骨への分化能力(多分化能)を有する、3.重度免疫不全マウスの子宮において、ヒト子宮筋を構築する、といった子宮筋幹細胞の要件を満たすことが判明した(論文準備中)。内膜細胞あるいはその幹細胞から胚受容能を有するヒト内膜組織を再構築しin vitro着床システムの確立を目指しているが、その実験ツールとして、ヒト絨毛細胞株スフェロイド(胚に相当)と内膜腺上皮株を用いたin vitro着床モデルを確立した(Uchida, et. al.,Hum Reprod,2007)。また、着床には内股分化が必須だが、その分化を担う分子メカニズムを明らかにし、それを標的にした着床制御に必要な基盤データも得た(Uchida, et. al.,Endocrinology,2007;Nagashima, et. al.,Endocrinology,2008)。
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