研究課題
基盤研究(A)
本研究はギャップ結合に関与するコネキシン(Cx)タンパクの役割を解明するため、単にギャップ結合だけではなく、Cxタンパクそのものにも焦点を当て、Cx遺伝子の発現から、細胞膜へのインテグレート、細胞膜での挙動、ヘミチャネル、ギャップ結合に至るすべての過程を網羅的に、しかも時間的要素を含めてCxタンバクの一生を明らかにすることにより、各種疾患におけるCxの関与を明らかにすることを目的とした。その結果、1)肝ガン細胞におけるCx43と増殖・分化の関係が明らかとなった。2)細胞の分化過程において、Cx43の発現上昇が認められ、この発現を抑制することにより分化が抑制されることを明らかとした。さらに、この機序はギャップ結合非依存的で、cAMPの関与が示唆された。3)Cx43の発現調節機序に関し、細胞密度が増加するに従うCx43の発現増加は、ギャップ結合非依存的であるが、同じCx43を発現していない細胞との共存培養における高密度培養下でも増加が認められた。しかし、後者の場合には膜へのトラフイッキングは認められなかった。次にその解析を行ったところ、プロモータ領域のSpl結合領域がこの発現増加には必須であること、Sp3アイソマーが低下することが重要であることが示された。さらに、Cx43のmRNAの安定性にはIP3キナーゼーAktの経路が重要であることを明らかにした。4)Cx43タンパクを遺伝子より転写・翻訳の過程をすべてリポソーム内で行なわせることにより、Cx43で構成したコネクソンを膜にインテグレートしたリポソーム内に種々のオリゴペプチドを加え、細胞への処理を行なったところ、他の薬物導入法と比較し、短時間で高効率に細胞に取り込ませることが可能であることが明らかとなった。
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