1.Sox9の転写機能および軟骨細胞誘導能を促進する転写制御因子のクローニング II型コラーゲンレポーター遺伝子を用いて、Sox9と転写ファクトリーを形成する分子の探索を行った。その結果、約20の分子がSox9の転写活性を促進させることが明らかとなった。また、そのうち、4つの分子が、Sox9と直接関わる、転写制御因子であることが、判明した。 2.上記により同定された遺伝子クローンの機能的解析 (1)クローン#3遺伝子(Cl.3)とSox9の相互関係 分子生物学的な検討の結果、Cl.3遺伝子は、Sox9と結合し、Sox9の転写共役因子として働くことが見出された。またCl.3遺伝子は、II型コラーゲンなどの軟骨細胞に必要な遺伝子のmRNAの成熟、特に、Splicingに重要な役割を果たしていることを明らかにした。 (2)軟骨細胞分化過程におけるCl.3の役割 Cl.3遺伝子を未分化間葉系細胞に過剰発現すると、軟骨細胞への分化が誘導された。一方、Cl.3の変異遺伝子を導入すると、軟骨細胞分化が、著明に抑制された。さらに、マウス軟骨器官培養系にCl.3遺伝子を導入すると、増殖軟骨細胞への分化が促進された。従って、Cl.3遺伝子は、の軟骨細胞の分化に深く関与していることが明らかとなった。 (3)Cl.3トランスジェニックマウスの作成 個体レベルでのCl.3遺伝子の役割を検討する目的で、軟骨細胞特異的にCl.3の変異体遺伝子を発現するトランスジェニックマウスの作成した。Cl.3遺伝子トランスジェニックマウスの樹立に成功し、現在、その解析を進めている。
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