研究分担者 |
竹原 直道 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (00038879)
中垣 晴男 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (10097595)
雫石 聰 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (00028789)
山下 喜久 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (20192403)
宮崎 秀夫 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00157629)
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研究概要 |
本研究は,わが国において歯周疾患が全身の健康に及ぼす影響を研究している研究者が一同に集い,情報交換し,疫学理論に基づいて因果関係を明らかにすることを目的としている。平成17年度には,以下の研究成果があった。 1)記述疫学 高齢者集団での調査により,歯周病罹患者は健常者に比較して末梢血中のアルブミン,総コレステロール,無機リンの濃度が低く,GOT, GPT,免疫グロブリン,リウマチ因子のレベルが高いことを明らかにした(宮崎が担当)。 高齢者に対する調査より,口腔乾燥・舌痛を持つ者は,健常者に比較して唾液中のストレスホルモン濃度が高いことがわかり,口腔疾患とストレスとの関連性を示唆した(竹原,安細が担当)。 住民検診受診者を対象にして,歯周病罹患者は健常者よりも血中のレジスチン(脂肪細胞が分泌するインスリン作用の低下を誘導するホルモン)濃度が上昇していることがわかった(山下,齋藤が担当)。 歯周病患者における調査により,歯周感染によって血清総コレステロールとLDL-コレステロールが上昇することを明らかにした(西村が担当)。 2)分析疫学 人間ドック受診者を対象とした後ろ向き研究により,歯周病のない者が2年後に歯周病になった場合,2年後に末梢血中のCRP値が有意に高値になることが明らかになった(中垣が担当)。 3)実験疫学 細菌内毒素を歯肉溝に塗布し,歯周炎を惹起したラットモデルにおいて,肝臓の脂肪変性が起こっていることを明らかにした(渡邊,山本,友藤が担当)。 Fusobacterium nucleatum菌体表層タンパクがスタセリンと結合することを示し,誤嚥性肺炎の発症初期において呼吸器粘膜のスタセリンが細菌の初期定着に関与する可能性を示唆した(雫石が担当)。 IL-6によって培養肝細胞におけるコレステロール合成の律速酵素,HMG-CoA還元酵素の遺伝子発現が上昇することを示し、炎症に伴って血中コレステロール濃度が上昇するメカニズムの一端を明らかにした(西村が担当)。
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